林桂選

2009年9月16日上毛新聞掲載


風りんは遠くの海の波の音
藤岡美土里小5年 飯田 理沙
【評】涼しい風鈴の音。なんだか遠い海の涼しい波の音のような気がしてきます。「波の音」と断定した表現がいい。
ハンモック下からすずしい風が来る
高崎堤ケ岡小6年 春原(すのはら) 美咲
【評】「下からすずしい風」が、ハンモックの特性をよくとらえています。どこかのキャンプ場での体験でしょうか。
黴(か)びている饅頭(まんじゅう)のような夏の山
中之条中2年 木暮 峻介
【評】カビは青カビでしょうか。まだらに青くなっている夏山は、高山なのでしょう。意表をつくたとえが愉快です。
風吹いてきつねに見えた芒原(すすきはら)
前橋春日中3年 猪岡 詩織
【評】ススキ原は、いかにもキツネにであいそうな場所。風に揺れるススキの穂が、一瞬キツネのように見えたのです。
前よこぎる小さな飛行機夏終わる
前橋木瀬中3年 小泉 茉実(まみ)
【評】小さな飛行機は高い所を飛んでいるから。空の高さとともに、夏の終わりも感じとります。感覚のいい句です。
トンボ浮く群れのただ中ただ独り
前橋木瀬中3年 松浦天矢斗(あやと)
【評】「浮く」が巧み。アキアカネは、飛ぶというより浮いているように見えるときがあります。孤独な秋思のとき。
風涼し晴天の日の木影にて
前橋富士見中3年 狩野 茉季(まき)
【評】木陰で涼む一時。涼しいと感じられれば、晴天も好ましく思えます。倒置法の表現が効果をあげています。
たかやまむらしぜんがいっぱいかぜのおと
高崎新高尾小5年 中沢 岳大(たけひろ)
みみすませきこえてくるよなつのかぜ
高崎新高尾小5年 中村 花音(かのん)
夏の風私の足をかけぬける
前橋大胡東小6年 小林 亜美
カブトムシうちの弟せわできず
前橋粕川小5年 北爪 琴乃(ことの)
秋だけど水着のあとは残ってる
前橋細井小5年 吉田 裟野(さや)
夏の空山と戦う雲きょう竜
前橋駒形小5年 横田 大輔
木道の下にイモリが歩いてる
渋川津久田小5年 狩野 学人
おべんとうバスのカーブでかたよった
前橋山王小5年 武田 雄樹(ゆうき)
じいちゃんにもらったオニユリさいてるよ
前橋大胡小6年 岡田 和樹
姉ちゃんが起こされる声でぼく起きる
前橋大胡小6年 大崎 碧輝(あおき)
カブトムシぼくのあさはきみのよる
前橋大胡小6年 斎藤 大智(だいち)
花火の夜だれより笑顔のおばあちゃん
前橋敷島小6年 坂巻 直人
鼓笛の音夏の空にひびきわたる
前橋山王小6年 下田巳奈美(みなみ)
歩き出す夏そこから自分を変えるんだ
伊勢崎坂東小6年 鈴木みらの
日やけ顔見合ってうまし氷水
榛東南小6年 小野塚友太郎
海の波ぼくもはまべにおしもどす
榛東南小6年 清水 一希
夏が来た風でプールがかがやくよ
中之条中1年 関 絵美子
カッターで榛名の風をあびている
六合中2年 和田 彩花(あやか)
ひまわりも夢を持ちつつ伸びている
前橋富士見中3年 小田嶋 樹(たつき)
校庭に風が吹いてる昼休み
前橋富士見中3年 新井 桃子
紫陽花がぼんやり咲いた夢の中
沼田中3年 斎木 瑞穂
暑い夏高校野球に憧れる
沼田中3年 勝沢  修(しゅう)
夢の中ふわふわしてる春の風
沼田中3年 坂爪 祐未