林桂選

2009年10月28日上毛新聞掲載


席かえは窓際を希望賢治の忌
前橋西高1年 本多 雅実
【評】もちろん、希望してかなうものではありません。ただ、もの思いの場として秋の窓辺は最適。思いは分かります。
水筒の麦茶が足りぬ試合かな
熊谷女子高2年 間瀬由希乃
【評】用意した麦茶が途中で足りなくなる試合。熱戦なのでしょうが、夏の強い日差しが一番の理由でしょう。
飼い犬に飛びつかれけり西鶴忌
前橋西高1年 沢田 勇太
数Aは難しすぎる秋の空
前橋西高1年 犬飼 琴絵
ひとめ見てサッカー部だと分かる肌
熊谷女子高1年 引間 千尋
毎日をサッカーボールと過ごす夏
熊谷女子高1年 羽鳥  舞
夏祭り姉妹そろって門限破る
熊谷女子高1年 高木 晴香
家の前馴じみの大樹はもういない
熊谷女子高2年 大谷 千穂
白い歯にカッキーンとくる夏日和
熊谷女子高2年 三ツ橋千尋
夏祭りそろいのうちわ帯にさす
熊谷女子高2年 斉藤 真希
胡桃割る太い親指に見入りけり
前橋西高2年 田村 駿介
夕暮れの空を横切る赤い羽
前橋西高2年 原  大樹
【総評】俳句も創作ですから、絶対にダメというものはありません。しかし、定型詩でもありますから、さまざまな効果的な表現の知恵を蓄積していることも事実です。俳句の場合、それをタブーとして語ることも多くあります。「季重なり」もその一つです。一句に季語を複数用いることを避けようとするものです。俳句という短い表現の中で、重複表現を避け、よりよい効果をあげるための工夫の一つとも言えます。ムダな表現を省くためのチェックポイントに使うことは有効だと思います。二つ以上季語があったら、一つに絞るような推敲(すいこう)を行うのです。プロは「白梅の中紅梅に近づきぬ」(森澄雄)のような表現効果を狙っての「季重なり」をする場合もあります。でも、初学は、季語を一つにする工夫から始める方がよいことは間違いありません。