鈴木伸一選

2010年2月23日上毛新聞掲載


とうめいな自分がうつるスケート場
前橋駒形小5年 大西 花奈
【評】スケートをする自分といっしょに、透明なもう一人の自分もすべっているような、ちょっと不思議な感じの俳句。
ゆきふって先生一番楽しそう
前橋粕川小5年 沢田 結奈(ゆいな)
【評】先生は雪がふったこと以上に、クラスのみんなと雪合戦や雪だるまづくりができるのがうれしいんだと思います。
放課後は晴れても風は冷たいよ
渋川小野上中1年 野村 若菜
【評】放課後は、解放感と一抹(まつ)のさびしさが合わさったような、不思議な時間帯。中七下五が、ちょうどそんな印象。
試合後に冬の寒さが凍し(し)みてくる
中之条中2年 加辺 一馬
【評】全力で試合をした後の虚脱感の中では、寒さも一段と感じられます。敗戦だったとしたら、なおさらでしょう。
さよならと言うのためらう寒さかな
中之条中2年 割田夏奈子
【評】友だちと歩いているのでしょうか。さよならと言ってしまうと、さびしさに心の中まで寒くなりそうなのです。
合格の書類に蝶がまいおりる
高崎中尾中3年 金井美侑季
【評】晴れやかな作者の心に、早春の日ざしが、あたかも舞い踊る蝶のようにひらひらと降りそそぎます。おめでとう。
雪ふって今日の学校楽しみだ
前橋駒形小5年 小林 奎介(けいすけ)
体育館屋根の雪はぼうグラフ
前橋駒形小5年 田尾 水稀
風花が北風バスで旅に出る
前橋駒形小5年 萩原 英亮(えいすけ)
雨の日にすれ違う犬服着てる
前橋下川渕小5年 木檜(こぐれ)葉月
皿洗い終ったらすぐストーブへ
前橋細井小6年 石沢 勇耶
春をまつ私の髪に風そよぎ
前橋七中1年 栗原 有加
粉雪で心の底に花が咲く
中之条中2年 原沢 彩香
ストーブをつけたら冬がゆがみだす
中之条中2年 山崎 剛志(つよし)
春の空電車のように走る雲
高崎中尾中3年 新井 悠太
春一番昔の僕を吹き飛ばす
高崎中尾中3年 内山 一朗
ふわふわと心にためる春の風
高崎中尾中3年 瀬尾 祐貴
春の空ぼやけて見えぬ校門前
高崎中尾中3年 水谷 拓也

【総評】感動を俳句の形にする。これは、まあ当たり前のことですね。けれど、そうは言っても私たちは年がら年中、感動ばかりしているわけにもいきません。そこで、そういうときは、まず自分の身の回りをよく見て、とにかく五七五の形に言葉をまとめてみることを、みなさんに薦めたいと思います。なぜかと言うと、いろいろと言葉を探し、まとめているうちに、言葉の方から思いがけない感動が生まれ、すばらしい俳句になることがあるからです。要するに、言葉が心の奥底に眠っていた記憶を呼びさまし、それによって私たちが過去の出来事を追体験するということなのでしょう。こういう機会を少しでも増やすために、やはり普段からこつこつと俳句を書き続けてゆくことが大切なんですね。もちろん、何かに感動したら、それを思いきり伸び伸びと表現することも忘れないでください。