林桂選

2010年4月27日上毛新聞掲載


野良犬の枯れ野を駆ける土埃
前橋南高2年 横山 菜那
【評】乾ききった枯れ野の様子を「土埃(つちぼこり)」で象徴的に描いています。もちろん、野良犬は、心まで渇ききっています。
寂しさは鳴らない電話秋の暮れ
高崎北高3年 下村美奈子
【評】三夕(さんせき)歌で分かるように秋の暮れは寂しいもの。でも、それを電話の鳴らない寂しさとして現代の句にしています。
寝転がる兄の足にもやっと春
渋川女子高2年 樋田 真季
静電気友達の髪で遊んでる
高崎北高2年 菊本 礼華
恋風を耐えて久しき寒椿
高崎北高2年 村上明日菜
寒いからあたためてよと猫は来る
高崎北高3年 樋口 真未
蝉の羽未来を抱く音を奏でる
高崎北高3年 石川 裕一
(学校・学年は投稿時のものです)


【総評】「大けやき」は前橋大胡小のシンボルツリー。たくさんの児童が俳句に詠んでいます。「大けやき」を書く新しい材料が尽きてしまうのではないかと心配になるくらいですが、それでもどんどん書いて、新しい姿や関係を発見し続けています。そのエネルギーには驚かされ、感心します。今回の「ひなんくんれん大けやきにはにげられない」もそうです。避難訓練をしたとき、「大けやき」は児童と同じようには逃げられないことに気づきます。それはずっと同じ場所にいることの意味を理解したと言えます。「大けやきはやおきをしてまっている」にも植物への深い理解がありそうです。