林桂選

2010年5月25日上毛新聞掲載


病室に連なる鶴の揺れてをり
高崎北高2年 岩井 勇気
【評】病床のつれづれを慰め、健康回復を祈って折られた鶴でしょう。それに答えるかのように揺れて生きて見えます。
蝶が舞う野原を彩る日の光
高崎北高2年 水沢志保子
野兎よ月の都は寒からむ
高崎北高2年 高倉 慎矢
夜半の海揺らいだ影に百合一つ
高崎北高2年 村上明日菜
憧れの地に舞う桜新たな決意
高崎北高2年 滝沢 祥太
【総評】「黄水仙口をひらいて歌うたう」(中2)は、西東三鬼の「広島や卵食ふ時口ひらく」を思い出させます。三鬼の句の背景には原爆忌があって、生死の思い思念を「食ふとき口ひらく」で受けとめています。物を食べるときに口を開くのは当たり前のようですが、それを身体の動きとして見ると不思議な光景に変わって感じられる瞬間があります。その瞬間が、生きる意味を体感した瞬間でもあるような句なのです。
 歌をうたうときに口を開くのは当然です。でも、その動きと歌をうたうことを、一端切り離してから、一つにして見ると不思議な感覚が生まれます。作者が感じたのも、根本は三鬼と同じ感覚でしょう。詩的発見というのは、このような感覚なのです。
(学校・学年は投稿時のものです)