鈴木伸一選

2010年5月18日上毛新聞掲載


ぼくの方じっと見つめるすみれ達
前橋月田小5年 鈴木 智大
【評】スミレの花は白や黄などもありますが、「じっと見つめる」という奥ゆかしい感じには、やはり紫がいいですね。
公園にみどりのにおいつまってる
前橋駒形小6年 浦田 涼雅
【評】草木がみずみずしい緑に変わり、公園はすっかり初夏のよそおい。あふれんばかりの緑のにおいに癒い(い)やされます。
部活中花びら舞い込む体育館
渋川小野上中2年 中沢 莉穂
【評】部活に集中することは大事ですが、一方で、こんなふうに季節をふっと感じ取るゆとりもあっていいでしょう。
帰り道写真を撮りたくなる桜
中之条中3年 剱持  優
【評】私も写真を撮るのが好きなので、作者の気持ちはよく分かります。うっとりするほど美しい桜ってありますもの。
満開の桜を包む夜空かな
中之条中3年 高橋 実央
【評】人知れずひっそりとたたずむ桜の木を思い浮かべました。花をそっと包みこむ夜空が、とても優しい印象なので。
一斉にみどりもえ出す赤城山
赤城養護小児医療センター分校中3年 遠山  晏(あん)
【評】分校の窓から見える、初夏の赤城山。一斉にもえ出す緑の生命力に、きっと作者は勇気づけられたことでしょう。
おとうとが桜といっしょにダンスする
前橋駒形小5年 野沢りりか
さくらの木一番のりで衣がえ
前橋駒形小5年 長谷川奈央
小さくておおいぬふぐりはひかってる
前橋月田小5年 下平そよか
春の日はわがやの庭も花のばんぱく
高崎城山小5年 高木 杏翠(あみ)
シャボン玉じっとみつめるうちのねこ
前橋大胡小5年 前田 明洋(あけみ)
くさむしりじいちゃんカエルをつかんでる
前橋大胡小5年 吉原 瑞季
鼓笛の音いつもけやきがきいている
前橋大胡小6年 星野 直子
マーチングなつのれんしゅうみずうまい
高崎佐野小6年 高橋 夏美
きらきら光る夏のたいようがかおにあたる
高崎佐野小6年 中沢  響
春の色窓から見えた二号橋
長野原一小6年 豊田  円(まどか)
春の池おたまじゃくしに「こんにちは」
赤城養護小児医療センター分校中1年 蜂須賀悠介
春弥生桜のつぼみもふくらんで
赤城養護小児医療センター分校中2年 岡芹 拡紀(ひろき)
背の低い私を見おろすこいのぼり
渋川小野上中1年 佐藤 萌花
若鮎がはねたらそこに春の風
渋川小野上中1年 竹内 義和
雲々が絵に描いたよう春の空
渋川小野上中2年 佐藤 真由
こいのぼり面倒臭いと父笑う
渋川小野上中3年 野村 聡太
友達と不安を話す通学路
中之条中1年 綿貫 一瀬(かずせ)
春風に乗せてはなったシュートかな
中之条中3年 斉藤 翔太
春色に染まる校舎に雨がふる
中之条中3年 福原 夢菜
外野ではたんぽぽりんと咲いている
中之条中3年 山崎 剛志
春の午後ろうかを歩けば風の声
中之条中3年 綿貫美乃里
飾る雲頭に小さく花水木
前橋七中2年 栗原 有加
八重桜固まり合って重たそう
吉岡中2年 山ノ内亜美
花たちが羽をひろげて笑ってる
渋川赤城北中3年 高橋 一樹
※渋川赤城北中の作品は、中村泰彦先生にしどうしていただいたものです。

【総評】俳句には「発見」が大事です、とよく言われます。確かにその通りなのですが、さて、それでは実際に「発見」とはどういうことなのかというのは、なかなか分かりづらいところもあるでしょう。やはり具体的な例を示すのが一番いいと思いますので、いくつか挙げてみます。たとえば「夏の日の国語辞典に指のあと」(小5・宮崎千恵子)、「ゼッケンの数字が汗で太くなる」(小6・東かおり)、「先生のネクタイ秋の色になる」(小6・山田早苗)といった句がありますが、それぞれ「指のあと」「太くなる」「秋の色」が作者の発見ということになります。ただし、どれも特別なことを見つけだしているわけではありません。普段の生活の中にある、ほんの小さな出来事や変化に目をとめ、それを素直に書いただけです。みなさんの身の回りをじっくりと見直してみると、何か発見できるかもしれません。
(学校・学年は投稿時のものです)