| 鈴木伸一選 |
2010年6月15日上毛新聞掲載
| 部室前サンダル散らばる夏初め | |
| 渋川女子高2年 樋田 真季 | |
【総評】「しんしんと肺碧(あお)きまで海のたび」という有名な俳句には、季語がありません。作者の篠原鳳作(ほうさく)(1906〜1936)が沖縄宮古島で中学校の先生をしていたとき、夏休みに鹿児島へ渡る船の旅の途中で詠んだもので、南国の海の深い深い青色が、まるで自分の肺の底にまで染みこんでくるようだと言っています。鳳作は季節感よりも、海の旅で自分が感じたものの方を、俳句で表現したいと思ったのでしょう。このように、みなさんは自分で一番詠みたいものを俳句にすればいいのであって、必要以上に季語にこだわることはないのです。ただ、そうは言っても、学校で「俳句には必ず季語を入れましょう」と教わったかもしれません。確かに、季語は俳句をすぐれた詩として成り立たせるための大事な手だての一つです。また、実際にみなさんの身の回りには、季語がたくさんあります。こうした身近な季語を探し出して五七五にまとめることは、みなさんの書く力を高めます。要は、季語を難しく考え過ぎて、それに縛られるのではなく、肩の力を抜いて楽しく付き合うのが大切だということでしょう。 | |