鈴木伸一選

2010年9月21日上毛新聞掲載


暑い日に瓦は光る波のよう
熊谷女子高1年 金子みつき
【評】奈良や京都などの大寺の屋根瓦は、まさしく波のように連なっています。むろん、自宅の屋根瓦でもいいですが。
ケータイを閉じて見上げた空は晴れ
熊谷女子高2年 斎藤 真未
【評】携帯電話の画面に見入っている間に、私たちの頭上をたくさんの美しいものが通り過ぎているのかもしれません。
風が吹く草刈り後の強い匂い
熊谷女子高1年 寺山  薫
星空を眺めながらの夏合宿
熊谷女子高2年 佐藤  楓
夏休みなんにもしてない時が好き
熊谷女子高2年 日高 結実
【総評】前回、松尾芭蕉について触れたので、もう少し続けます。芭蕉が活躍したのは、今から300年以上も前の江戸時代ですが、さすがに「俳聖」と呼ばれるだけあって、その作品や文章はもとより、弟子たちが記録した俳諧に関する言葉の数々にも、現代の私たちが学ぶべきものがたくさん含まれています。たとえば、「発句(ほっく)はとり合(あわせ)物也。二つとり合(あわせ)て、よくとりはやすを上手と云(いう)也」という言葉。「とりあわせ」とは、二つの異なる素材を一句の中に配合すること。「二物衝撃」という、ちょっと難しい言い方もあります。ともあれ、一見すると無関係に思われるもの同士が一句の中に配されると、そこに意外な詩情が生まれ、今まで見えなかった世界が見えてくるというようなことは、実際にすぐれた俳句、じょうずな俳句を読むとしばしば経験します。みなさんにも、できるだけたくさんの俳句を読むことで、「意外性」の面白さを体験してほしいと思います。