林桂選

2010年11月2日上毛新聞掲載


蝉の服あちらこちらにしがみつく
熊谷女子高1年 加藤 美穂
【評】「蝉(せみ)の服」は「空蝉(うつせみ)」の見立てです。でも、こう見立てることで、風景が不思議なものに見えてきてしまいます。
「焼けたね」を「痩せた」じゃないのと聞き返す
熊谷女子高1年 代  有純
【評】「やけた」「やせた」の言葉の音の近さの発見。つい言われたいと思う「やせた」に聞き違えてしまいます。
文化祭自分のやつだけ売れ残り
熊谷女子高1年 松島 由奈
【評】バザーに出品した手作り作品。自分の作ったものだけ売れ残っている悲しさ。気持ちは少しも劣っていないのに。
この夏は海がほしいの埼玉県
熊谷女子高1年 坂東 桃子
【評】埼玉も群馬と同じ海なし県。内陸性の猛暑も同じです。夏季限定でいいからクールダウンできる海が欲しい。
朝靄の尻尾がはずむ散歩道
熊谷女子高2年 中條里仮子
【評】尻尾(しっぽ)の持ち主は犬でしょうか。「はずむ」に、持ち主の上機嫌が表れています。靄もや(ルビ・もや)のかかった涼しい朝です。
プール補習十二往復はキツいだろ
熊谷女子高2年 栄野かすみ
【評】十二往復が簡単ならプールの補習は受けないはず。それなのに十二往復を課される矛盾。解決には時間が必要。
水不足私はそろそろ君不足
熊谷女子高1年 斉藤  恵
アリが出たお菓子だらけのマイルーム
熊谷女子高1年 長島 椋子
アスファルトぐらぐら煮立てる蝉の声
熊谷女子高2年 河田みのり
セミの声勉強中だけ耳につく
熊谷女子高2年 大塚明日香
冷蔵庫開けるたび猫寄ってくる
熊谷女子高2年 西岡 千里
晩夏とは名ばかり今も頬が熱い
吾妻高3年 山田 礼子
一筋の汗のにおいの甲子園
吾妻高3年 山田 礼子