鈴木伸一選

2010年11月9日上毛新聞掲載


夕焼けにまっすぐのびる帰り道
前橋荒牧小5年 坂西 啓佑(けいすけ)
【評】すぐれた風景画を見るように、たいへん印象鮮明な句。まるで夕焼けの中に吸いこまれてゆくような気がします。
秋の雲ちぎり絵みたいな雲がある
前橋大胡小5年 岡田  唯
【評】雲にもいろんな表情があり、特に秋はその印象が強い。岡田さんが見たのは、ちぎり絵のような愛らしい雲です。
茸狩り黄昏時に息を吐く
高崎中尾中1年 柏木 将汰
【評】息を吐いたのは作者かキノコか。現実と非現実の境のような黄昏(たそがれ)という時間の中、不思議な表情を見せる句です。
名月や机に向かい勉強中
渋川赤城北中2年 岩崎 貴之
【評】古来、名月は風流の代名詞のようなものでした。この句も、中学生の視点から詠まれた現代の風流と言えるかも。
冬の日に言葉に氷がはっている
渋川赤城北中3年 狩野 航輝
【評】言葉は、使い方いかんで春風のように温かくもなり、氷のように冷たくもなります。心して使いたいものですね。
階段に寂しさただよう秋の昼
渋川小野上中3年 宮  康太
【評】授業時間帯などは校舎の階段もしんとして、確かにさびしい感じ。「秋の昼」という季語が、よく効いています。
青空の切れ端探す秋の午後
中之条中3年 遠藤 史也
【評】雲がわいて、青空が見えなくなったのでしょう。変わりやすい秋空を、「青空の切れ端」で詩的に表現しました。
こっち見る古いかかしはギコギコと
中之条中3年 関口茉瑠香(まるか)
【評】古いかかしが油の切れたロボットのように、ぎくしゃくと動きだした感じ。奇妙な感覚が、かえって魅力的です。
二度寝して友達待たす秋の朝
中之条中3年 平形 知恵
【評】一緒に登校する約束だったのでしょう。でも、友達は笑って許してくれたと自然に思えて、読者の心も和みます。
秋の夜なわとびしてると犬がなく
前橋大胡小5年 神山  恵
赤とんぼ町のけしきを変えていく
前橋下川渕小5年 関根 朱莉(しゅり)
はか参りひしゃくと水はぼくの役
前橋荒牧小5年 木村  光
顔を出し鯉も見つめるうろこ雲
長野原一小5年 篠原柚里奈
秋風に乗せて届けるピアノの音
前橋大胡小6年 新井 萌香
秋空に一すじの雲のびている
前橋大胡小6年 小林亜理紗
夏休み宿題の波がおしよせる
前橋城南小6年 岩谷菜々子
※前橋城南小の作品は、桜沢雅子先生に指導していただいたものです。
紅葉を見ながら食べるモンブラン
館林一小6年 丸山 莉彩
笛ふくときこえてくるよ秋の音
下仁田小6年 新井 沙輝(さき)
子供見て笑っているのは秋の雲
高崎中尾中1年 熊井 美和
秋風が窓にあつまる授業中
中之条中1年 新井 拓雄
天高し寂寞(じゃくまく)の夜に我一人
高崎高南中3年 志田 夏美
秋晴れの外見てため息塾へいそぐ
太田強戸中3年 武田 優奈
※太田強戸小の作品は、神部秀一先生に指導していたいたものです。
鰯雲夕日がちらちらかくれんぼ
渋川金島中3年 西念 尚範
秋海棠(しゅうかいどう)ふく風少し傷をつけ
中之条中3年 新井 遥菜
秋風に自分の進路をせかされて
中之条中3年 市瀬(いちのせ)瑞枝
秋の夜文字を書く音響く部屋
中之条中3年 上原 真衣
秋空の過ぎ去る影をおいかける
中之条中3年 島田  樹
流れ星道なき道を指し示す
中之条中3年 茂木 敏博