林桂選

2010年12月14日上毛新聞掲載


かげふみに日かげにかくれる妹が
前橋大胡小6年 栗原 蒼生
【評】影踏みの安全な逃げ場は、影が分からなくなる影の中。大きな影の中に入って出てこない妹さん。こわがりだけど知恵者でもあります。
パンジーの香りが横切る持久走
前橋大胡小6年 阿久沢佳菜
【評】学校の花壇に植えられているパンジーでしょう。持久走はその前を走るのです。一瞬のパンジーの香りに励まされるような思いです。
ただいまと一番最初に犬に言う
前橋大胡小6年 三浦 健人
【評】犬に最初に帰宅のあいさつするのは、犬が最初に出迎えてくれるからです。しっぽをふって喜んで迎える犬の姿が目に浮かびます。
自分のを買えなかったよおみやげを
榛東南小6年 反町虎太郎(こたろう)
【評】修学旅行のおみやげ。家族、親せき、友達へのお土産を買いすぎて、自分のものは買えなくなったのです。優しい人間性の感じられる句です。
今朝の冬いつもとちがう風の色
高崎中尾中1年 只木 梨沙
【評】「今朝の冬」は、季語で立冬の朝のこと。立冬と思うと朝の風も違って感じられるのです。風のようすを「風の色」と詩的に表現しています。
蟻の巣をふさいだまんま旅にでる
太田木崎中3年 堀越 竜樹(たつき)
【評】「蟻の巣をふさいだまんま」という行為は謎に満ちています。また、旅に出たのはアリか作者か。作者として読んだ方が謎は深くなります。
家帰り言われたことは林檎むけ
太田木崎中3年 高田 愉香(ゆか)
【評】家に帰るなり言いつけられたのがリンゴの皮むき。日常ありそうながら、それを言葉に定着させると、意外性があり詩として成立します。
自転車で下る坂道風に乗る
前橋荒牧小5年 新保 貴大
大けやき風がふくたび葉が落ちる
前橋大胡小5年 吉原  秀
ブランコの下の水の中アメンボさん
前橋大胡小5年 浜 星空斗(りくと)
通学路毛虫の後は銀杏だ
前橋山王小5年 吉野 大輝
秋の空夕焼け雲がいっぱいだ
高崎箕輪小5年 浅海あみか
ハトだらけ文字までハト字八幡宮
前橋岩神小6年 川崎 州鋭(くにとし)
空の上海がもうひとつあるみたい
前橋大胡小6年 阿久沢佳菜
秋雨の音で静かに俳句書く
前橋大胡小6年 小林亜里紗
うちのねこいっしょに学校行きたがる
前橋大胡小6年 新井 萌香
昼休みけやきが見てるながなわ練習
前橋大胡小6年 星野 直子
学年で九人だけだぞ火おこし名人
前橋大胡小6年 前原 雅哉
ありたちが私のくつを観察だ
前橋大胡東小6年 滝原 穂香(ほのか)
大イチョウなくてさびしい秋の空
藤岡神流小6年 関口 智子
見上げれば大仏も空もねずみ色
榛東南小6年 笹沢 智貴
秋の空大仏の顔が笑ってる
榛東南小6年 萩原 璃来(りく)
栗のいがまきびしみたいにふり落ちて
中之条中1年 田村 大地
久々に歩いた道に秋のかげ
中之条中1年 片貝 璃子
秋空へおもて裏へと散る紅葉(もみじ)
渋川金島中3年 星野 寿明
雲の下すんでいるのは風だけだ
中之条中3年 西條 真吾
散歩道白い息がさそう道
中之条中3年 剱持  優