鈴木伸一選

2010年12月21日上毛新聞掲載


友達と笑顔みせ合う秋の空
前橋大胡小5年 登丸 優希
【評】「みせ合う」と言っても、無理に笑顔を作っているのではありません。友達に会えば、自然と笑顔になるのです。
冬の空見てたらカマキリとんできた
前橋大胡小5年 吉井 柊平
【評】俳句は出会いを描く詩とも言えます。この作品にもカマキリとの出会いを大切に思う気持ちが、よく出ています。
着かざった十二単の秋の山
渋川赤城北中1年 都丸 鈴音
【評】「十二単(ひとえ)」は平安時代の女房装束ですが、さまざまな色が重なり合った秋の山に、ぴったりの比喩(ひゆ)と言えますね。
しもがおり野原で天使が歌ってる
中之条中1年 西山 理歩
【評】冬の野は身を切るような寒さですが、その一方、たいへん清浄な感じもします。「天使」という発想も頷(うなず)けます。
授業中雲の流れが速い冬
渋川小野上中2年 野村 若菜
【評】実際の速さ以上に、心理的な速さを感じます。12月ともなると、何かとせわしない気分にとらわれますものね。
黒板の消し跡白い冬の朝
渋川小野上中3年 茂木真由美
【評】朝の冷たさゆえに感覚が研ぎ澄まされ、消し跡の白さが強く印象されたのかもしれません。豊かな季節感も魅力。
ストーブの正面死守する冬の朝
中之条中3年 宮崎 菜奈
【評】家か学校かは分かりませんが、私も含めた寒がりの人間には、「死守」という言葉も決して誇張ではありません。
冬の空太陽近道日がくれる
前橋大胡小5年 石川  茂
秋の朝そうじをすると目が覚める
前橋大胡小5年 神山  恵
すすきのほ風になびくと馬のむれ
前橋大胡小5年 吉田 朱里
大けやき枝の間に雲見える
前橋大胡小6年 小林亜理紗
持久走いい空いい風見ているよ
前橋大胡小6年 多賀谷彩美
つきささる空気をきりさきたすきパス
前橋大胡東小6年 石本 麗衣
クリスマス部屋もケーキもかざりつけ
高崎堤ケ岡小6年 淡嶋 彩矢
空の色赤はいっしゅん黒くなる
下仁田小6年 白井 菜月
秋が来て枕草子音読だ
長野原一小6年 金子 且行(かつゆき)
秋探し美しい山見えてくる
渋川赤城北中1年 兵藤花菜香
秋風と一緒に歌った秋風祭
みどり東中1年 新井 文晶
こたつから出ようか出まいか雪の日に
甘楽一中1年 中島  輝
僕の部屋冬の空気に入れかわる
渋川赤城北中2年 小野 直樹
来年が引き出しの中から覗いてる
渋川赤城北中2年 小林 渓太
寒い朝布団い逃げる休みの日
渋川小野上中2年 新井 航大
閑散と机が並ぶ秋の朝
渋川小野上中3年 宮  康太
夕暮れに向かって歩く帰り道
中之条中3年 山崎 剛志

【総評】先日、新聞の記事で「同調圧力」という言葉を知りました。これは心理学の用語で、集団の中で多数派に合せるのを強いる空気のことだそうですが、「KY(空気を読めない)」と同様に、その場になじめない相手を排除してしまおうとする怖さが、どことなく感じられます。もとより、私は心理学の専門家ではありませんし、また世の中は時と場合によって人と歩調を合わせることも必要でしょうから、一概に否定し去るわけにはいかないと思いますが、ただ、俳句も含めた表現芸術においては、「ひとと同じ」というのは決して好ましいことではありません。俳句には「発見」が大切であると、これまで何度も述べてきましたが、ひとと同じ物の見方、感じ方をしているだけでは、すぐれた発見はなかなかできませんから…。ともあれ、ジュニアのみなさんには来年も、俳句を通じて大いに個性を発揮してほしいものです。ちなみに、私は「KY」を「個性が豊か」と考えています。