| 鈴木伸一選 |
2011年5月5日上毛新聞掲載
| 妹とボートの上で桜見る | |
| 前橋荒牧小5年 赤星 沙和 | |
| 【評】前橋の敷島公園を思い浮かべました。水の上から眺める桜には、いつもと違う美しさが感じられたことでしょう。 | |
| 通学路左も右も梨の花 | |
| 前橋山王小5年 白石 泰地 | |
| 【評】「青天や白き五瓣(べん)の梨の花」(原石鼎)という句の通り、静かで清らかな感じの梨の花。すてきな通学路ですね。 | |
| 春の雲ゆっくりすすむ海の上 | |
| みなかみ水上小5年 鈴木るうか | |
| 【評】空と海という大きな風景を、ゆったりとした呼吸で詠んだ俳句。そのため、春の季節感がとてもよく伝わります。 | |
| 桜の木小さな生命がじゃれている | |
| 渋川金島中1年 浅見 太智 | |
| 【評】「小さな生命」は、桜の花の一つ一つを言ったものでしょう。暖かな陽光に、喜々として戯れている感じですね。 | |
| そよ風が静かに春をゆらしてる | |
| 渋川金島中1年 宮本 悠希 | |
| 【評】「花をゆらしてる」では当たり前。花も含めた、ありとあらゆる春の景物がゆっくり揺れているというのがいい。 | |
| 桜舞い希望の光降ってくる | |
| 渋川小野上中1年 佐藤 響乃(きよの) | |
| 【評】散る花びらを悲しいというのではなく、「希望の光」ととらえたところに前向きな若さがあり、好感が持てます。 | |
| 桜にも背が高いのと低いのが | |
| 渋川小野上中2年 竹内 義和 | |
| 【評】金子みすゞの「みんなちがって、みんないい」ではないですが、桜の木もそれぞれに違う美しさを持っています。 | |
| 入学式ロボットみたいな一年生 | |
| 下仁田中2年 今井 沙希 | |
| 【評】緊張して動きがぎこちない新入生を、ユーモラスに描写。去年の今井さんも、きっと同じようだったのでしょう。 | |
| 梅が咲き今日から兄は社会人 | |
| 下仁田中2年 長岡 隼人 | |
| 【評】学校を卒業し、いよいよ社会人となるお兄さん。颯爽(さっそう)とした姿に、弟として精いっぱいのエールを送る作者です。 | |
| 地球儀とくるくる回る春の風 | |
| 渋川赤城北中3年 小林 渓太 | |
| 【評】軽やかな雰囲気が持ち味の句。春以外の季節では、この雰囲気は出なかったでしょう。旅心がくすぐられますね。 | |
| ふきのとう採ってきたよと父の声 | |
| 東吾妻太田中3年 登坂かほり | |
| 【評】雪が解けると、やがてフキノトウが顔を出し始めます。お父さんの弾んだ声に、春到来の喜びがあふれています。 | |
| サクラの木みんなを笑顔にする力 | |
| 前橋荒牧小5年 関口 晃太 | |
| 桜さき元気な声が校庭に | |
| 前橋荒牧小5年 福島 由乃(ゆきの) | |
| カレンダー見なくていいよ春休み | |
| 前橋山王小5年 栗原 正明 | |
| 桜散る魔法使いの落としもの | |
| 前橋桃川小5年 斉藤 優維 | |
| ばあちゃんち散歩してたら桜さく | |
| 伊勢崎赤堀東小5年 木村 ゆり | |
| あすは雨飛行機雲が伝えてる | |
| 長野原一小5年 篠原柚里奈 | |
| グランドをやさしく見守る桜の木 | |
| 渋川金島中1年 浅見 茉穂 | |
| たくさんの桜の下にしあわせが | |
| 渋川金島中1年 石田 政尊 | |
| 一歩ふみ一息すって花が咲く | |
| 渋川小野上中1年 中沢亜梨紗 | |
| 雲雀飛ぶ卯月の空に雲一つ | |
| 渋川小野上中1年 中沢 大樹(ひろき) | |
| 雨の日の桜は少しかげ落とす | |
| 渋川小野上中1年 平形 里奈 | |
| 入学式そでから手が出ぬ一年生 | |
| 渋川小野上中2年 新井 大智 | |
| ちょうちょ舞い自然に顔が笑っちゃう | |
| 渋川小野上中2年 飯塚 悠菜 | |
| 黒板に未来を描くチョークかな | |
| 渋川赤城北中2年 狩野 藍花 | |
| 桜咲き弟一人増えました | |
| 渋川赤城北中2年 田子 琴音 | |
| さらさらと春を運ぶ鏑川 | |
| 下仁田中2年 東間 礼華 | |
| 明日への道がひらける春が来た | |
| 下仁田中2年 黛 友紀 | |
| 春休み部活をしてたら3年生 | |
| 下仁田中2年 黛 祐貴 | |
| 春になり調子上向き猛打賞 | |
| 渋川小野上中3年 野村 翔人 | |
| 校庭でさくら飛びかう部活かな | |
| 渋川赤城北中3年 狩野 静香 | |
| 桜の木みんなで集まる昼休み | |
| 渋川赤城北中3年 狩野 由衣 | |
| 春一番小さな花が咲いている | |
| 東吾妻太田中3年 一場 悠太 | |
| サクラの木ニュートン気分でながめてる | |
| 神流中里中3年 高橋 鴻輔(こうすけ) | |
| 【総評】「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています」(『名言力』大山くまお著・ソフトバンク新書) これはメジャーリーグ、シアトル・マリナーズのイチロー選手の言葉です。数々の記録を塗り替え、今やメジャーリーグでも屈指のスター選手であるイチローですが、観客の心をつかんで離さない素晴らしいプレーの裏には、こつこつと積み重ねてきた無数の小さな努力があるということでしょう。そして、これはみなさんの俳句にも当てはまることだと思います。たとえば、毎日の学習にしても、部活動や友だちとの遊びにしても、どれもがみなさんにとっては貴重な経験であり、それを一つ一つ努力して積み重ねてゆくことで、人間としての幅が広がるわけです。幅が広がれば、その分、さまざまなモノの見方が可能になり、豊かな発想の俳句も書けるようになるのです。みなさんも今日からは少し意識して、小さな努力を続けてみたらどうでしょう。(学校・学年は投稿時のものです) | |