鈴木伸一選

2011年6月2日上毛新聞掲載


明日はきっといい事がある夏の月
渋川女子高1年 六本木いつき

【総評】小学校高学年くらいから、多くのみなさんが、いろいろなものごとや、それに対する自分の感想などを、順序立てて細かく説明できるようになります。このように相手にきちんと説明できるというのは、とても大事なことなのですが、ただ、字数の制約がある俳句の場合、細かな説明が不可能だということも、これまでにたびたび述べてきました。
 例えば「えんぴつが短くならない夏休み」(愛知県小6・山崎裕代)という句があります。これは俳句の授業でもよく紹介し、いつも一番の支持を集めるのですが、やはりその秘密は、作者が言いたいことはよく伝わってくるのに、その言いたいことを作者が説明していないという点にあるのだと思います。要するに山崎さんは、夏休みの間にちょっと怠けてしまい、勉強をあまりしなかったのですね。そうした山崎さんの気持ちは、多くのみなさんが共感できるものなのでしょうが、その辺りのことは、この句には一切書いてありません。
 「説明しないのに気持ちが伝わる」表現を工夫すれば、それが可能なのですね。
(学校・学年は投稿時のものです)