| 鈴木伸一選 |
2011年8月11日上毛新聞掲載
| 暑いからけやきの下で一輪車 | |
| 前橋大胡小5年 葛西 葵 | |
| 【評】大ケヤキの下は涼しいので、多くの友だちが一輪車に乗っているのでしょう。ぶつからないように気をつけてね。 | |
| 大けやき台風の空見上げてる | |
| 前橋大胡小6年 町田 菜摘 | |
| 【評】町田さんが大ケヤキの気持ちになって表現した俳句。荒れ模様の空を見上げて、どことなく不安そうな感じです。 | |
| 暑いよとみんなでさけぶ通学路 | |
| 渋川長尾小6年 角田 千弘 | |
| 【評】暑いときは、がまんしないで「暑い!」と思いきり声に出せば、気分的にはかえって涼しくなるかもしれません。 | |
| 夕焼けが心のまよいを照らしだす | |
| 渋川小野上中2年 竹内 義和 | |
| 【評】迷わぬ人などいませんが、それと真剣に向き合うかどうかは、人それぞれです。作者は真剣に向き合っています。 | |
| 夕焼のまっかな空の京都かな | |
| 前橋南橘中3年 畑根 理沙 | |
| 【評】夕焼けに美しく染まった京都の街並み。寺社を直接詠んでいない分、平均的な修学旅行俳句と一線を画しました。 | |
| 炎天下最後の夏を走りきる | |
| 渋川赤城北中3年 茂木まどか | |
| 【評】作者は陸上部員でしょう。夏の大会を最後に3年生は引退です。「走りきる」から、満足感が伝わってきますね。 | |
| 庭にいる母の背中を見つめけり | |
| 中之条中3年 宮崎 美鈴 | |
| 【評】お母さんは、洗たく物でも干しているのでしょうか。作者の心の中にあるのは、感謝とねぎらいの思いでしょう。 | |
| 夏休み光の速さで去っていく | |
| みなかみ水上中3年 村田 諒 | |
| 【評】「光の速さ」という誇張表現が効果的。中学校最後の夏休みは、やるべきことがあり過ぎるくらいでしょうから。 | |
| 一問を解いて見上げる夏の空 | |
| 下仁田中3年 神戸 美紅(みく) | |
| 【評】夏休み中の家庭学習の情景でしょう。問題を解いては空を見上げ、ちょっとした気分転換を図っている感じです。 | |
| 雷がおなかをすかしておこってる | |
| 前橋月田小5年 石原 達也 | |
| 夏休みぼくの目標遊ぶ事 | |
| 前橋月田小5年 小田圭一郎 | |
| 海の日はなみの音がきれいだな | |
| 伊勢崎宮郷二小5年 小野寺勇人 | |
| 青空にアゲハの羽がかがやいた | |
| 伊勢崎北二小5年 本橋 睦月 | |
| 夏の雨よく見たらくつしたにあな | |
| 伊勢崎赤堀小5年 八木 郁海 | |
| 予定はさ全部柔道夏休み | |
| 前橋大胡小6年 阿部 翔太 | |
| 体育館トロンボーンふいて汗をかく | |
| 前橋大胡小6年 井口まりん | |
| 明月院ペンキぬりたて青あじさい | |
| 伊勢崎あずま小6年 牛膓(ごちょう)いずみ | |
| ひまわりがピカピカ教室照らしてる | |
| 渋川長尾小6年 荒井 奏美 | |
| せみの声家の中まで鳴りひびく | |
| 渋川中郷小6年 角田 紗彩 | |
| オニグルミ頭の上に落ちてきた | |
| 片品武尊根小6年 千明諒之介 | |
| 寝る前の秋を待ってる読書かな | |
| 渋川赤城北中2年 茂木 美里 | |
| バス停で耳をすませば蝉の声 | |
| 前橋南橘中3年 清水 唯依 | |
| 汗しみたサンダル洗うお盆すぎ | |
| 中之条中3年 綿貫 茉莉 | |
| 祖母の家泊まった夜はほたる飛ぶ | |
| 東吾妻太田中3年 湯浅 成美 | |
| 夏暑し額に集まる青春の汗 | |
| 下仁田中3年 瀬間 涼介 | |
| 【総評】みなさんの中には、おじいちゃん・おばあちゃんと一緒に暮らしている人もいるでしょう。また、普段は離れて暮らしている人もいるでしょう。あるいは残念なことに、おじいちゃん・おばあちゃんがすでに亡くなってしまったという人もいるかもしれません。ただ、そういう人でも、おじいちゃんやおばあちゃんが元気なときにいろんな話をして、昔の出来事や言い伝えなどを教えてもらったことがあるのではないかと思います。 さて、俳句には「季語」という季節をあらわす言葉があります。そして季語は、おじいちゃんやおばあちゃんから聞かせてもらった昔からの言い伝えのようなもの、と考えることができます。こういう言葉はとても大切なもので、おじいちゃん・おばあちゃんから、お父さん・お母さんへ、そしてみなさんへと受け継いでいってほしいと思います。「ジュニア俳壇」では季語のない作品も入選しますが、仮に季語のない俳句を作る場合でも、季語をたくさん覚え、その大切さをきちんと理解した上でないと、良い作品はなかなか書けないのです。 | |