鈴木伸一選

2012年6月14日上毛新聞掲載


朝曇今日の目標書きわすれ
伊勢崎赤堀小5年 大沢 永実
【評】「朝曇」は夏の季語。「今日の目標」をうっかり書き忘れてしまった気分と、どこかでつながっている感じです。
青空の光るリングに風かおる
前橋山王小6年 栗原 正明
【評】金環日食という特別な出来事を俳句にするのは、本当に難しいこと。この句は、季語をうまく生かした見本です。
端午にね伊達政宗とにらめっこ
伊勢崎北二小6年 太田 凌輔
【評】端午の節句に、伊達政宗の鎧兜(よろいかぶと)が飾ってあるのでしょう。いかめしい鎧兜と、にらめっこをするというのが愉快。
春の村元気な子どもの遊び声
南牧小6年 磯貝 夏那
【評】小林一茶の「雪とけて村一ぱいの子ども哉」という句を思い出しました。昔も今も、子どもたちは元気が何より。
新緑の香り届けて走る風
高崎中尾中3年 米山はるか
【評】吹き渡る風に新緑の香りが運ばれてきます。初夏のすがすがしい気分が素直に表現されており、好感が持てます。
風鈴のガラスにうつる夏の空
渋川赤城北中3年 田子 怜奈
【評】ガラスの風鈴に映った夏の空は、おそらく真っ青に晴れ渡っているでしょう。作者の繊細な感覚がうかがえます。
ランドセル学年上がると重くなる
前橋桂萱小5年 神成  翔
森の中虫たちざわざわ会議中
前橋桂萱小5年 野村実彩季
おにごっこいっぱい走ってのどかわく
前橋元総社北小5年 猪野 優希
川の上ほたるの光二つある
高崎金古小5年 藤谷龍之介
ばあちゃんの自家製サラダは初夏の味
伊勢崎境剛志小5年 松田  楓
教室のまどから見るとにじがある
中之条小5年 湯本 寧々
夕がたにブランコに乗ると長いかげ
前橋大胡小6年 田中美由紀
風車一年生にプレゼント
前橋大室小6年 福島 繭子
六年生学校のかお桜さく
伊勢崎赤堀小6年 鈴木 倖耶
公園のすな場で遊ぶ夏の雨
伊勢崎赤堀小6年 山崎 伽來(きゃら)
緑のねトンネル通る榛名富士
安中松井田東中1年 佐藤 佳那
消しゴムで消そうと思う積乱雲
渋川赤城北中2年 石田ほのか
窓際の雨粒と語る昼下がり
渋川赤城南中2年 金子  曜
花の中一つ浮き出る白牡丹
高崎中尾中3年 坪倉  暦
色違う右手と左手夏近し
渋川赤城北中3年 角田 千佳
傘をさすあじさい色の子供たち
渋川小野上中3年 穴沢 佳子(かこ)
【総評】このところ、5月21日の金環日食をテーマにした俳句が、非常にたくさん寄せられています。運動会や修学旅行などもそうですが、こうした特別な出来事や行事があった後は、それらを描いた俳句の投稿が一気に増えます。
 ただ、以前にも触れたことがありますが、そうした大量の俳句の中からジュニア俳壇に入選する作品の数は、そう多くはありません。なぜなら、みなが一斉に同じものを見るため、ほとんどの場合、同じようなことを考え、同じような感想をいだくからです。そのうえ、感動が大き過ぎて、頭の中がいっぱいになってしまいがちなのです。
 しかし、これは決して悪いことではありません。入選するしない以前に、こうした特別な出来事を俳句の形にして残しておくということが大事なのです。何年後かに読み返したとき、「あのときは、すごかったなあ」と思い出せれば、それでいいのです。そう考えれば、割と気が楽に俳句を作れるでしょうし、気が楽になれば肩の力も抜けて、かえって良い句が生まれるということもあります。