鈴木伸一選

2012年6月28日上毛新聞掲載


そよ風に遊んでくれよとたのまれる
前橋大胡東小5年 磯  琉斗
【評】心地よいそよ風にさそわれて外遊びをしたのですが、それを「たのまれたから」と表現したところがユーモラス。
空からねつゆのほう石ふってきた
前橋桂萱小5年 堀越 美緒
【評】雨を宝石にたとえたところがすてきです。うっとうしい梅雨も、少し見方を変えれば、こんなに美しくなります。
鉄ぼうがうまくいかないつゆもよう
伊勢崎赤堀東小5年 さいとう雄大
【評】鉄棒の練習をしているのですが、なかなかうまくいきません。「つゆもよう」が、作者の心の中を表しています。
雨あがりねこがならんでにじみてた
前橋大胡小6年 大竹 朱美
【評】何とユーモラスで愛らしい光景なんでしょう。横に並んだ猫たちの後ろ姿が目に浮かび、思わず笑顔になります。
この道の緑やみどり緑かな
前橋山王小6年 栗原 正明
【評】道いっぱいの緑。この句はそれしか言っていないのですが、そこを技術で見事に作品化できるのが栗原君の実力。
一年生かさをさすのにふらふらと
前橋山王小6年 山口  諒
【評】傘が大きくて、体の小さな1年生はふらふらします。大丈夫かな、と上級生らしい優しさで見守っている山口君。
朝日出てプールに映り夏が来た
前橋月田小6年 堤  李菜
【評】プールの水に朝日が反射して、きらきらと輝きます。プールが始まると共に、いよいよ本格的な夏の到来です。
せんぷう機ぼくの話を無視してる
渋川赤城北中2年 石田 翔也
【評】首を振る扇風機は、ひとの話を無視するかのように、あらぬ方を向いてしまいます。苦いユーモアのある句です。
畑には麦藁帽子咲いている
渋川小野上中2年 佐藤 響乃(きよの)
【評】農作業をする人がかぶった麦わら帽子が、畑のそこここに見えるのでしょう。「咲いている」が印象的な表現。
金魚の目ちがう世界を見つめてる
高崎中尾中3年 井上 美智
【評】我が家にも金魚がいますが、ゆらゆらと泳ぐ様子を見ていると、確かに作者と同じ思いをいだくことがあります。
若楓向こうの岸は影さして
高崎中尾中3年 只木 梨沙
【評】楓(かえで)の若葉の緑は、いかにも初夏らしいすがすがしさ。それに対する向こう岸の影に、心理的な屈折を感じます。
学校の置き傘たまり空あおぐ
群馬大附属小5年 品川 瑞華
つゆがきてかえるも笑顔水たまり
前橋桂萱小5年 木村 珠希
初夏だけど想像しちゃう夏休み
高崎箕輪小5年 木暮 栞那
雨あがり地面から夏が生まれそう
前橋大胡小6年 酒井 仁成
なごみ地蔵やさしいまなざし光のよう
前橋桂萱小6年 堀越 千夏
いつもより音がしずかなつゆの雨
前橋白川小6年 中島 慧土
さえずりが私の耳へと流れこむ
安中坂本小6年 井上 奈美
武尊山にじのぼうしをかぶってる
片品武尊根小6年 星野美紗子
ピカピカの希望と教科書つめたカバン
片品中1年 千明龍之佑
初夏の風静かな学校包んでる
高崎高南中2年 田中 雄大
シャーペンも重く感じる炎昼よ
渋川赤城北中2年 中沢 莉沙
玄関の忘れたカサが雨を待つ
渋川赤城北中2年 望月 美紅
蜂の来る花をながめつ本を読む
上野中2年 丸山  律
雨降って万緑薫る法隆寺
高崎中尾中3年 金井英里奈
座禅中さわやかに吹く夏の風
高崎中尾中3年 田代 寛治
紫陽花や空をながめて意を決める
吉岡中3年 栗田さくら
家の中洗濯物は梅雨のにおい
東吾妻太田中3年 中山 美希