鈴木伸一選

2013年2月21日上毛新聞掲載


春の昼ころがっていく消しゴムが
伊勢崎赤堀小5年 石村 美玖
【評】転がる消しゴムを描いただけなのですが、何となく春らしい雰囲気が感じられます。そこが俳句の面白いところ。
ストーブのとうゆのにおい冬の朝
伊勢崎赤堀小5年 井田 竜輔
【評】灯油のにおいは、なるほど冬の風物詩の一つです。こんなふうに日常の中から季節感をとらえるのは大事なこと。
風光る遠くのほうで木がゆれてる
伊勢崎赤堀小5年 猪熊 愛海
【評】「風光る」は春の季語。明るい日ざしに、風もまばゆく感じられます。風に揺れる木も、何だかうれしそうです。
なんとなく考えているうちに冬終わる
伊勢崎赤堀小5年 藤生万里愛
【評】何かを考えるともなく考えていたのです。そうこうしているうちにも、季節は冬から春へと変わってゆきます。
雪の上ふるえる犬とはしゃぐ犬
前橋大胡小6年 角谷ひおな
【評】寒さに強い犬ばかりではないということですね。「ふるえる」「はしゃぐ」という言葉の対比が面白い俳句です。
友達と「雪降ったね」と雪の朝
前橋大胡小6年 高橋  唯
【評】友だちとの会話をそのまま取り入れた、実感豊かな俳句です。どんな雪遊びをしようか相談したのでしょうか。
霜をふむサクサクサクと野菜切る
前橋大胡東小6年 安藤 大朗
【評】霜を踏んだときのサクサクサクという音から、野菜を切るときの音を思い浮かべました。ユニークな発想です。
お父さん暑がり寒がりさみしがり
前橋山王小6年 久保田咲来(さくら)
【評】「自分も同じ」というお父さんは多いはず。さびしがりのお父さんは、我が子と話すのが一番うれしいんですよ。
三枚の書き初め仕上げ日が暮れる
前橋山王小6年 白石 泰地
【評】時間をかけて、ていねいに書き初めを仕上げたのです。こういうゆったりとした句を読むと、心が落ち着きます。
記念写真笑顔失敗冬の昼
伊勢崎赤堀南小6年 星野 円桂
【評】卒業アルバム用の記念写真でしょうか。うまく笑顔になれなかったのは残念だけど、それも思い出の一つです。
ソリ乗りで遊びつかれる日曜日
片品武尊根小6年 星野美紗子
【評】疲れるほどソリ遊びができるなんて、雪のあまり降らない所に住んでいると、うらやましいくらいに思われます。
如月(きさらぎ)の澄んだ青空君想う
東吾妻太田中2年 荒木 真帆
【評】如月は旧暦2月の異称。青空には清らかな透明感が漂い、「君想う」のすがすがしい印象によく合っています。
初囲碁の石置く時の音を聴く
高崎中尾中3年 近藤 晃貴
【評】新年最初の囲碁の対局。すがすがしい中にもおごそかな雰囲気をたたえた空気に、碁石を置く音が鋭く響きます。
冬のそら夏とはちがい笑顔なし
前橋大胡小5年 伊藤 美紅
白いいきいろんな形の魔法のけむり
前橋大室小5年 萩原 佳奈
えほうまき体は南顔はテレビ
前橋下川淵小5年 森田 乃亜
焼きいもを食べたらすぐに白い息
前橋月田小5年 春日 優稀
冬休みうす着でいつもかるた取り
前橋月田小5年 関口 雅幸
群読で声そろったよ冬げしき
伊勢崎赤堀小5年 木島 海斗
青空に雲が一つだけ帰り花
伊勢崎赤堀小5年 倉沢 碧(あおい)
連絡帳今書き終わる冬日和
伊勢崎赤堀小5年 橋本 尚己
算数がむずかしくなる冬の空
伊勢崎赤堀小5年 渡辺  響
寒い日に弟どうして外に出る
伊勢崎赤堀東小5年 上野日葉理
北風を引き裂くように逆上がり
前橋山王小6年 栗原 正明
雪の予報母が何度も外を見る
前橋山王小6年 高橋あづみ
だいこんがおなべの中でのぼせてる
前橋月田小6年 河原 芽生
空っ風なんだか悲しい感じする
前橋月田小6年 松村 和起
窓ごしに遠くの山の雪光る
南牧小6年 神戸 弥華
一年の最後のテスト風邪をひく
高崎中尾中1年 松浦 智幸
如月のつめたいえんぴつ朝学習
東吾妻太田中1年 大塚 稜太
冬の朝鳥のさえずりひびく町
下仁田中1年 小井土 凌
ポンカンを透かして食べる冬の夜
前橋五中2年 福田 智佳
寒月に照らされ一人道急ぐ
高崎中尾中3年 斉藤 奈々
受験生不安の雪が積もる日々
東吾妻太田中3年 田中  陽