鈴木伸一選

2014年7月10日上毛新聞掲載


雨だけどあじさいみるためかさをさす
前橋荒子小5年 市根井美海
【評】雨ばかりでつまらないと言わず、梅雨どきならではの楽しみを発見しました。こうした発想の転換が大事ですね。
どこいてもにげられないよ暑さから
前橋大胡小5年 遠藤れいと
【評】本当に暑いときって、確かにこんな気がします。逃げようとすればするほど、暑さが追いかけてくるような感じ。
つゆはれま楽しい本が見つかった
前橋桂萱小5年 萩原杏珠花(あすか)
【評】梅雨の晴れ間というのは、自然と気分がうきうきしてきます。そんな気分に、「楽しい本」がよく合っています。
梅雨の朝花のスネア達合奏中
前橋桂萱小6年 青木 夏紀
【評】スネアドラムを連想するとなると、やはりアジサイのような大きい花ということでしょう。楽しい梅雨の朝です。
梅雨の朝つくえが少ししめってた
前橋桂萱小6年 高橋 一成
【評】朝、登校して机に触れると、何だか湿っている感じがしたのです。梅雨どきらしい気分を、うまく描いています。
冷蔵庫我が物顔のスイカ達
前橋山王小6年 上村 考輝
【評】スイカは大きいので、冷蔵庫に入れると場所を取ります。ちょっと困るけれど、おいしいから我慢しましょうか。
こうていが夏の太陽あびている
前橋下川淵小6年 高橋 音羽
【評】広い校庭が夏の太陽を浴び、まぶしいくらいに輝いて見えます。すぱっと表現されているので、印象が鮮明です。
紫陽花に光のしずく垂れている
渋川中1年 生形 怜菜
【評】「雨のしずく」では当たり前。この句は、きらきらと輝く雨のしずくを、ずばり「光」と表現したのがよかった。
家の中一人眺める梅雨の雨
前橋みずき中3年 飯田 優花
【評】降り続く雨を、一人で眺めています。所在無くもあり、ちょっぴり孤独でもある、そんな時間が流れてゆきます。
雨音が強弱つけてふりました
前橋荒子小5年 寺内 美羽
梅雨の雨ずっと待ってた赤いかさ
前橋荒子小5年 堀越日菜子
梅雨晴れ間会話のはずむ通学路
前橋桂萱小5年 金井 柚己
あじさいのかげでねているうちのねこ
高崎城山小5年 江端 流佳
南風ピアノの音色ひびきたり
伊勢崎赤堀南小5年 舘野 太樹
ためいきをついたら消えるホタルかな
藤岡二小5年 細谷 悠衣
陸上の足あと残る授業中
前橋大胡小6年 間野 智暉
ろう下からあじさい見つけた梅雨の朝
前橋桂萱小6年 市村 京都
かみのけがいうこときかない梅雨の朝
前橋桂萱小6年 戸谷真奈実
梅雨が来て新ぴん長ぐつ大活やく
前橋下川淵小6年 山田 果凜
かささすとたくさんの雨歌いだす
高崎多胡小6年 熊倉 理恵
海の波こっちへおいでと言うように
高崎西小6年 設楽 美月
お祭で町中明るくなってくる
水上中1年 伊尾木沙都
夏の風吹くたび聞こえるオルゴール
高崎中尾中2年 石井 柚有
ベランダに梅雨の晴れ間の傘の花
前橋春日中3年 吉野 大輝
汗光る総体ちかく夏来る
前橋みずき中3年 新井 佑奈
上電の窓から見える雲の峰
前橋宮城中3年 田中 智浩

【総評】今回のジュニア俳壇を見て、「梅雨の朝」の句が多いことにお気づきになった方がおられると思います。これは、この6月に私が俳句授業を実施した学校の多くで、「梅雨の朝」をテーマに、子どもたちが実作を行ったためです。このように、事前にテーマを設定し、それに基づいて俳句を作るやり方を題詠と呼びますが、限られた時間内で子どもたちが作品を書き上げるには、かなり有効な方法であると言えます。
 ただし、私は授業において、いきなり「梅雨の朝」で句を作るよう指示しているわけではありません。作句の下準備として、まず、子どもたちに「自分がきょうの朝にしたこと」を思い出してもらいます。より具体的に示せば、「朝、起きたときのこと」「朝ごはんのこと」「学校につくまでのこと」「学校についてからのこと」の4項目のどれか一つを子どもたちが自分で選び、その上で、5・7または7・5の12文字の部分を先に作るよう指導しています。そして、残りの5文字に「梅雨の朝」を入れて、1句が完成するという仕組みです。むろん、テーマは「梅雨の朝」以外にもさまざまに設定することが可能でしょう。
 単にテーマを提示するだけでなく、このように段階を踏むことで、子どもたちの句づくりがよりスムーズに進むという一つの例として、紹介させていただきました。