鈴木伸一選

2014年10月16日上毛新聞掲載


思い出がレモンのようになつかしい
前橋西高1年 松下 水紀
【評】「レモン」は秋の季語ですが、ここでは「思い出」の比喩として働いています。酸っぱい恋の思い出でしょうか。
青蜜柑すぎゆく日々を感じつつ
前橋西高1年 赤田 翔一

 【総評】先日来、「俳句指導三本の矢」について何回か述べてきました。
 一の矢「いつでもできる」
 授業の始めや終わりの5〜10分もあれば指導が可能。
 二の矢「どの子もできる」
 成績、発達に関係なく、だれでも書ける。
 三の矢「自信を持たせる」
 作った俳句を評価されることで、子どもに自己肯定感が生まれる。
 今回は、最後の「自信を持たせる」ですが、現代の子どもたちに自尊感情・自己肯定感が乏しいということは、しばしば指摘されています。それに関し、たとえば「ふだんはあまり目立たない子がジュニア俳壇に載り、それがきっかけで自信を持ち、他の子からも認められるようになり、うれしかった」といった感想を、ある小学校の先生がお聞かせくださったことからも分かるように、俳句には、子どもに自信を持たせるという教育的効果が、確かに認められます。そして、これと同様の事例は、他にも数多くお聞きしています。
 要するに、俳句のように自己の内面から生み出したものをほめられることは、子どもにとって、自分の人格そのものを認められたという気がするのでしょう。これは、たいへん重要な点であると思われます。