鈴木伸一選

2015年11月19日上毛新聞掲載


空の青トウカエデの赤い葉きれいだな
伊勢崎高等特別支援学校1年 清水 真由
葉が落ちて広い青空秋日和
利根実業高3年 宇津野彩夏

 【総評】長く子どもたちの俳句に接してきた中で、2学期の主要行事が一段落したこの時期に毎年、子どもたちの俳句の質が総じて低調になる傾向が見られるということを、私は経験的に感じています。
 その要因は幾つか考えられます。たとえば1学期から俳句の創作を始めた場合で言うと、いま時分でちょうど半年あまりが経過したことになり、子どもたちも俳句づくりにだいぶ慣れてきているはずです。もちろん、慣れるのは悪いことではありませんが、ただ、慣れることによって俳句は割と容易に作れるものの、それに反比例して、俳句を始めた当初の新鮮な感動が薄まってゆくというマイナス面も表れてくるようなのです。このことは大人の俳句の場合でもよく見られますが、いわば「半年の壁」とでも呼ぶべき、一つのターニングポイントです。まして子どもたちは語彙(ごい)も経験も少ないですから、半年間俳句を書き続けているうちに種が尽きてしまい、マンネリズムに陥るというケースもあるでしょう。
 それともう一つ、2学期は秋季運動会や体育祭、持久走大会、さらには秋の遠足や修学旅行などをはじめとする大きな行事がめじろ押しですが、あまり立て続けに行事があると、子どもたちはそれに取り組んでゆくのが精いっぱいで、仮にこれらを俳句にしようとしても、どうしても表面的なものとなってしまいがちのように思われます。
 だとすれば、ここで原点に立ち返り、子どもたちが落ち着いて「自然」と向かい合う時間を、あえて作ってみたらいかがでしょう。校庭でも学校の周囲の川や林でもいいですから、外に出て、子どもたちの感受性をここでもう一度解きほぐし、じっくりとモノを見て、日々の慌ただしさに忘れかけていた「発見」の喜びを思い出させる働きかけを、この時期こそ、先生方に試みていただきたいものだと思います。