炉端の埴沙萠
● 沙萠写房の炉端からの便り
 訪れてくる出版社の人や、写真仲間から「いまは、どこへ撮影に出かけているのですか?」と、よく尋ねられます。
そんなとき、わたしは、「だれも行かない、だれも行けない所で
撮影しています」と答えます。すると、「えっ!そんな所があるんですか?」と驚くのですが、「わたしの家の庭や、まわりの山です」と言うと、なあんだとう顔をします。どこか特別な場所に行かなくては、撮影するものが無い、撮影できないと思っている人が多いようです。わたしは、珍しい植物や、キレイな花を撮影することよりも、木や草が生きている姿のなかに、生命のすばらしさを見つけて撮影しています。 「 いまは、どんなテーマで撮影していま すか」と尋ねる人もいますが、わたしの 撮影テーマは「生命のすばらしさ」です。 一本の草が生きることのなかにも、どんなにすばらしい、生命の愛と英知がそそ がれていることか、そういったことを 、写真で現したいと思っています。
 雪の降る野山での植物の生き方を見たくて1994年に大分県の国東半島から、ここ群馬県北部の上毛高原に移ってきました60年を越す植物とのつきあいのなかで、雪国の植物と、いっしょに暮らすのは、初めてです。雪が降るからこそ育つ植物もあることを知りました。スキーも、どうにか滑れる ようになって、 雪を楽しんでいます。埴沙萠と植物が、雪の里Kらお届けする写真と散筆を、楽しんでください。