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タ コ の 話 し No.2 |
【 タコつぼの進化 】 島のおバアさんが、タコをつかまえるのなら、浜辺に近いサツマイモ畑で待っているといい。夜中になると、タコが、おか(陸)にあがって来て、イモをとりにくるから、そっと近づいて、棒で頭をぶったたきゃあいいんだと教えてくれました。 わたしを、からかって、そんなことを言ったのではありません。タコが立ち上がって歩いてくるんだ。二本の手でイモを掘って食べるんだ。若いものは信じないだろうが、わたしは、ほんとうに見たんだ。何度も何度も見たんだ。と話してくれました。でも、わたしは、畑にイモをとりに来たタコを見ることができませんでした。 おバアさんの話しを、そんなバカなことがあるものかと思って、タコが来るまで、蚊がさすのもがまんして待つことができなかったから、かも知れません。 写真は、漁師がタコを捕るときに使うタコつぼです。左はしのつぼが、昔から使われているつぼです。このつぼを、50コも100コも縄でつないで、海の底に沈めておいて、もうタコが入っただろうなと思うころに、ひきあげます。 つぼに入っているタコは、つぼがちょっとでも引き上げられて、海の底から離れると、もう、つぼから出てこないんだと、話してくれたヒトがいました。でも、つぼが引き上げられるときに逃げ出す タコも、います。 いまは、モーターの力で巻き上げていますが、30年ほど前までは、ヒトの力で縄を引っ張って、つぼを上げていたのですから、寝坊のタコだって、目をさまして逃げ出してしまいます。 そこで、考えられたのが写真のまんなかの、タコつぼです。セメントで作った、横穴式のつぼのなかには、イモやカニや貝など、タコが好きな餌を入れておきます。そして、タコが入るとネズミとりのように、戸がゴムじかけで閉まるしくみになっています。右はしのは、その次に作られた、合成樹脂のタコつぼです。 漁師たちのタコつぼは、このように進化していますが、いちばんいいのは長グツじゃないかな?と思います。 夏になると毎日、近くの小学生、中学生たちといっしょに泳ぎましたが、みんなで長グツを集めてきては、4〜5メートルの深さのところに沈めておきました。毎日どの長グツにも、みんなタコが入っているというわけではありませんが、どれかには入っていました。 長グツに入ったタコは、わたしたちが上げようとすると、クツの先の方、つま先の方に寄ってゆくので、逃げるしんぱいは、ありませんでした。 でも、大きな長グツは水がいっぱい入って、海の底から持ち上げるとき重いので、つま先のところに穴を開けて、水が出るようにしました。長グツ式タコつぼも進化したのでした。 |