|
||
|
|
||
![]() |
||
|
健康百科 血尿のはなし 群馬大学大学院 医学系研究科泌尿器病態学 教授 鈴木和浩
種々の疾患が潜む血尿出血部位で異なる症状 血尿は尿の中に血液が混ざっている状態で、肉眼で明らかに分かる「肉眼的血尿」と、検査ではじめてわかる「顕微鏡的血尿」に大きく分けられます。例えば、皆さんが受けている健康診断や人間ドックで診断される「尿潜血陽性」は後者にあたります。尿は腎臓で作られ、腎盂、尿管を通って膀胱にたまり、尿道から排出されます。男性には膀胱の下に前立腺があります。尿に血液が混ざるのは、こうした臓器におこった病気のサインであることがあります。しかし、尿潜血が何年も指摘されていて、特に体調に変化のない方も多いのではないでしょうか。今回の健康百科では「血尿」について分かりやすく説明したいと思います。
本当に血尿? また、別の患者さんが「尿の色が濃くなって、血が混ざるようです」と来院されました。よく聞くと最近、夜の尿が近いので、水分をできるだけ控えているということでした。検尿所見は特に異常ありませんが、コップに採った尿は褐色で濃い尿でした。このように、尿の色は摂取する水分の量や排泄される物質(ビタミン剤を飲んだ後の尿がきれいな黄色になることを経験したことはありませんか?)によって影響され、時に血尿のように見えます。
健診で「尿潜血陽性」といわれたら
また、尿タンパクを伴っているかどうかも非常に大切です。尿タンパクを伴う場合には、腎炎や腎症なども注意します。検査の内容は後で述べますが、尿潜血陽性の場合には、薬や手術といった治療を必要とする病気が隠れていることは90%くらいの方にはないようです。しかし、残り10%の方には泌尿器科で治療が必要な病気が隠れていますので、特に初めて尿潜血陽性といわれた方は受診をお勧めします。
尿に血が混ざった! 排尿のはじめだけに血液が出るのは、膀胱にたまった尿は正常ということですから、血液は尿道にあるということです。特に男性の場合には前立腺からということもあります。尿全体がはじめから終わりまで赤いのは膀胱内や腎臓、腎盂、尿管といったところから出血している場合です。 これに対して排尿の終わりに血液が混じるのは、膀胱の出口に炎症があったりして尿が出終わるときに粘膜がこすれて出血したり、前立腺部からの出血であることがあります。 このように同じ血尿でも出血部位によって特徴があります。また、痛みや発熱などの随伴症状が大切です。これは病気の質を判断する大切な情報です。肉眼で見て血尿や出血があった場合には、泌尿器科で治療が必要な病気が隠れていることが多く、受診が必要です。
どんな検査をするの?
どんな病気が考えられるのでしょうか?
泌尿器科ですぐに治療する必要のある病気として、最も注意しなければならないのが悪性腫瘍です。腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌が代表です。特に膀胱癌では痛みなどを全く伴わない血尿(これを無症候性血尿と呼びます)が特徴です。これらは手術が必要な病気です。また、近年増加している前立腺癌や前立腺肥大症も血尿で見つかることもあります。良性の病気では尿路結石(腎結石・尿管結石・膀胱結石)がもっとも多く、典型的な場合には背部の叩打痛や側腹部痛を伴います。また、女性に多い膀胱炎でも排尿の終わりに血尿が見られることがあり、特有の痛みを伴います。腎臓の血管系の異常でも血尿が見られ、腎動静脈瘻や左腎静脈が上腸間膜動脈によって圧迫されるナットクラッカー現象が代表です。さらに、女性に多い遊走腎も原因となります。 このように血尿には種々の疾患が潜んでいる可能性があります。「一度血尿があったのですが、その後は出なかったので…」という方もいらっしゃいます。「初めて尿潜血を指摘された」「血が尿に混ざった」場合には、泌尿器科に受診してください。
|
| △TOP |