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小児・婦人病のページ

甲状腺機能異常
正常の皮脂腺 群馬大学附属病院 内分泌糖尿病内科
講師 山田正信

甲状腺の病気は女性に多い
 慢性甲状腺炎やバセドウ病は女性に多い病気です。表に上げるような症状に思い当たる人は一度は甲状腺の病気を疑ってみてください。

甲状腺の位置
 甲状腺は図1のようにのど仏の数下、気管の前にありチョウが羽を広げたような形をしています。普段は触っても判別できないことが多いのですが、甲状腺が大きくなると鏡を見てもはれているのが分かるようになります。

甲状腺機能亢進症(中毒症)の症状甲状腺の機能と病気
 甲状腺からは甲状腺ホルモンが血液の中に分泌され、全身に働いて体を温めたり、体のさまざまな成分をつくったりして体を元気にしています。甲状腺ホルモンは多過ぎても少な過ぎてもいろいろな症状が出てきます。多過ぎる場合が甲状腺亢進症(正確には「中毒症」といいます)になり、少ない場合は甲状腺機能低下症になります。この他に甲状腺におできができる甲状腺腫瘍(腺腫やがん)や感染、炎症などがあります。

血液検査で分かること
 甲状腺でのホルモンの産生は、脳にある下垂体のホルモン(TSH)によって調節されています。甲状腺ホルモンが低くなると、TSHが増えて甲状腺に働くよう命令が出ます。逆に多すぎるとTSHは低くなります。血液検査では2種類ある甲状腺ホルモンT4とT3、さらにTSHを測定します。

甲状腺機能亢進症(中毒症)
 甲状腺ホルモンが多過ぎると体重減少、脈が速い、心臓がドキドキする、手が震える、疲れやすい、イライラなど表1に示すような症状が見られます。原因はバセドウ病が多く、その他、甲状腺が壊れて甲状腺ホルモンが漏れ出てくる亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎などがあります。

 バセドウ病は甲状腺がはれたり、「バセドウ病眼症」といって出目になったり、まぶたがはれたり、物が二重に見えたりします。また、亜急性甲状腺炎は甲状腺に痛みがあり、熱が出るなどの特徴があります。無痛性甲状腺炎は名前のように痛みがなく後述する慢性甲状腺炎の一部が壊れた場合です。バセドウ病と無痛性甲状腺炎の区別は難しく、無痛性甲状腺炎では甲状腺機能亢進症状は一時的で治療の必要がないため適切な診断が重要です。

甲状腺機能低下の症状甲状腺機能亢進症の治療
 バセドウ病の治療には薬と手術、アイソトープ治療があります。日本では約8割が薬で治療を開始しています。それぞれの治療法には長所短所があり、患者さんの年齢や希望に合わせて決めます。服薬は年単位の長期の治療になることや、何割かは薬の中断で再発すること、副作用などの問題があります。早く治るのは手術ですが、入院の必要や傷あとが残るといった欠点があります。アイソトープ治療はカプセルを1回飲むだけですみ、外来でも可能で、希望者が増えています。ただ放射能であり、若年者や妊娠している人にはできません。

 亜急性甲状腺炎は、軽症では鎮痛剤、症状が強ければ副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)を用います。無痛性甲状腺炎は治療の必要はありませんが、経過観察が大切です。

甲状腺機能低下症
 甲状腺の機能が低下して甲状腺ホルモンの量が低くなった状態です。原因は慢性甲状腺炎が最も多く、その他に下垂体の異常によるTSH低下があります。慢性甲状腺炎は橋本病とも呼ばれ、女性は10?20人に1人の割合とされています。進行すると甲状腺機能低下症になります。

 甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの不足でむくみが出たり、寒がり、無気力、便秘など表2のような症状が出ます。このような症状は他の病気でも出ることがあり見過ごされがちですが、一度は甲状腺機能低下症を疑って検査を受けることが必要です。お年寄りで急にぼけが始まったような場合も注意してください。

甲状腺機能低下症の治療
 甲状腺ホルモンの不足を補うため、甲状腺ホルモン剤の投与が必要です。甲状腺ホルモン剤は最初少量から始めて必要量まで増やしていきます。一生服用することになりますが大きな副作用もなく作用時間が長いため、たまに薬を忘れても大丈夫な薬です。

予防
 確実な予防法はありません。バセドウ病は家族や親族にかかった人がいるとなりやすく遺伝する傾向があります。また、慢性甲状腺炎のある人が昆布などヨードを含む食品を過剰に摂取し続けると、甲状腺機能低下症になることもあるので注意してください。


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