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小児・婦人病のページ

不正性器出血
排便のしくみ 便意と腸の働き 胃から肛門に向かう強い腸蠕動 群馬大学医学部附属病院 婦人科
教授 峯岸 敬

はじめに
 月経以外の性器出血を不正性器出血といいます。不正性器出血は性器からの出血で、子宮体部、頸部、腟、外陰からの出血を指しますが、性器外からの出血との鑑別が紛らわしいものもあります。また、不正性器出血は、機能性と器質性に分類(図1)され、機能性とは主に妊娠と悪性疾患による出血を除いたもので、おもに内分泌系のバランスが障害されることが原因です。思春期と更年期では時にホルモン分泌が不安定になることがあり、機能性出血を起こすことがあります。

 一方、器質的なものは、腫瘍、炎症、外傷、その他に分類(図2)され、原因を十分に調べて、明らかにする必要があります。

機能性子宮出血
 無排卵または排卵周期のどちらでも起こり、子宮内膜に部分的な破綻を生じて発生します。エストロゲン(estrogen)やプロゲステロン(progesterone)などのホルモンバランスの異常で起きることが多く、内因性や外因性のホルモンの過不足で起こります。

部位別、原因別にみた不正性器出血を起こす主な器質性疾患  基礎体温(BBT)をつけることが不正出血の診断に大変役立ちます。例えば、出血の時期により、それぞれ原因が異なることがありますし、極端な場合は、不正出血を正常の生理(月経)と間違えている場合もあります。BBTをつけて記録することで、ホルモン分泌と関連した出血かどうかとその対応にも参考になるので、不正出血を認めたらBBTの記録は大切です。また、長期に継続的もしくは断続的に起こるのか、短期に一時的に起こるのか、また、量(下着に付着する程度から衣服に浸透する程度まで)も含めて、いつごろから、どの程度、どのように出血しているのかをBBT記載と同時にメモしておくとさらに診断に有用です。

 体温が一相性であれば無排卵性の出血です。無排卵出血は、エストロゲンによる持続性の内膜刺激が原因であり、持続的エストロゲンの分泌は子宮内膜増殖症を引き起こします。 エストロゲンにより肥厚した内膜が、不完全に脱落し、出血が不規則で長びき、多量の不正出血を示すこともあります。

 体温が二相性であれば排卵がありますが、その時期によって原因を考え対応することになります。低温相においてもエストロゲンの分泌不全によって不正出血が生じます。たとえば月経が終了したのに、すぐにまた少量の出血が起こる、といった状態であることが多いです。また、排卵時に一時的にエストロゲンが低下することに誘起され、消退出血が起こることがありますが、これが排卵時出血です。

 排卵機能が保たれている場合には、正常な性周期をたどるものの、高温相に出血しているようであれば、この時期の子宮内膜を維持するべき黄体ホルモンの分泌不全があり、子宮内膜組織は一部剥脱し、これが不正性器出血となります。

器質性子宮出血
 子宮頸癌・体癌は不正性器出血を契機として発見されることが多いことは周知されています。子宮筋腫、子宮頸管ポリープなどの婦人科疾患のほか、血小板減少症などの出血性血液疾患にも注意が必要です。

 次いで、出血部位に関しては、性器出血であると感じても、実は痔核による肛門からの出血や血尿、尿道カルンケルといった婦人科領域以外の部位からの出血も意外と多いです。  

 自分でどの状況で出血を認めたかを記憶しておき、排尿時であれば、産婦人科よりむしろ泌尿器科を先に受診する必要があり、排便時であれば、外科が先になるかもしれません。自分で判断の出来ない時は、出血を認めたと感じた時に出来るだけ早く婦人科を受診してください。婦人科的なものであれば、受診時に腟内に出血を確認することが可能であることがほとんどなので、診断に役立ちます。

 他の報告でも不正性器出血の約20%に悪性疾患が発見されるとされており、日本人においても子宮体癌症例における不正性器出血発現率は非常に高いので、更年期の子宮内膜の検査も重要になってきます。

対応
 思春期女性に対しての、不規則な月経周期に伴う機能性出血は、原則として積極的治療は行わないで、基礎体温(BBT)の記録をみながら経過観察するのが一般的です。長期継続的であれば、腫瘍など物理的出血源が存在することが強く疑われますので婦人科受診が必要です。

 また、更年期女性においては健康食品類を摂取している方が少なくありませんが、なかにはそれと知らずにホルモン含有サプリメントを常用している場合もあり、医原性の出血のリスクも他の年代と比べて高いものと推察されます。

 閉経に向かっての月経状況の変化には一定の法則はないものの、突如の無月経は12%に過ぎず、希発や過少月経が70%、頻発または過多月経や、不正出血とそれに伴う治療による変化が18%と報告されており、閉経直前では約90%が月経不順を認めることになります。しかし、機能性と診断するためには、器質性でないことが条件になりますので、この時期の出血の原因については、十分な検査が必要です。

最後に
 不正出血に関しては、機能性であると診断されれば、経過をみてよいものと、器質性と判断して比較的すみやかに治療を必要とする疾患が混在しています。

 出血を契機に疾患が発見されることが多いので、定期検診は当然ですが、不正出血を認めた際には、婦人科受診により超音波による卵巣の様子、子宮内膜の様子の観察、さらに、子宮体部の細胞診を施行するようにしていただきたいと思います。


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