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介護のサポート(1)〜介護を支える人と場所〜 介護すること、されること 群馬大学医学部保健学科 教授 教授 佐藤由美 講師 齋藤智子
介護は、する人、される人の双方にとって生きる力や喜びを与え、人を成長させる大きな力を持っています。一方で、生活に掛かる負担や先の見えない不安が常につきまといます。介護は長期だからこそ、する人、される人どちらの生活も大切にしていくことがよい介護につながります。そのためには、外からの支援も積極的に活用しながら、家族なりの介護のスタイルを作っていくことが大切です。そこで今回は、介護のサポートとして、さまざまな介護サービスとそれをうまく利用する方法を具体的にご紹介します。 ある認知症の方です。ご本人は一人暮らしで、自分の家で過ごすことを強く希望されていました。近くに住む息子さんもその希望をかなえたいと、仕事をしながら、毎晩必要な買い物をして帰り、母親の世話をするという生活でした。お嫁さんは病弱なため、介護で無理はしないとご家族で相談されていました。日中は常に見守りと食事や排せつの介助のため、介護保険のホームヘルパーを毎日2回利用し、その合間はシルバー人材センターの家事援助・見守りサービスを利用して、日中の介護体制をつくりました。歌の好きだったご本人は、昼間は支援者と一緒に歌を歌ったり、短歌のビデオや本を読んだりしながら過ごし、息子さんの帰りを待っていました。ご本人が亡くなられた時、息子さんが最後に「いろいろな人の協力を得て、母はとても幸せに、自分の家で最期まで過ごすことができた。自分も精一杯面倒見ることができた」と、とても満足そうに話されました。ご本人の希望とご家族の生活に合わせて、外部の支援を活用しながら介護を継続した方の例です。 それでは、具体的にどのような介護サービスがあるかご紹介します。現在ある主な在宅介護サービスの種類を表1に示しました。介護保険のサービスを利用するには、市町村役場の介護保険担当課に申請し、要支援か要介護の認定を受ける必要があります。 介護保険のサービスのうち、自宅での介護の場合は、「居宅サービス」「地域密着型サービス」を利用することができます。「居宅サービス」には、ホームヘルパー、訪問看護など支援者が家庭に出向いて行う訪問サービス、日帰りで通って入浴や食事、レクリエーションなどを行う通所サービス、一時的に施設に入所する短期入所サービス、介護に必要な福祉用具の貸し出しや給付を受けられるサービスなどがあります。「地域密着型サービス」は、その市町村に住む方のみ利用できます。具体的には認知症の方に対応した通所介護や夜間の訪問介護などがあります。 また、介護保険サービス以外にも、市町村で独自に行っている高齢者福祉サービス(配食サービスなど)もあり、さらには、シルバー人材センター、NPO団体、民間のボランティア団体などが介護や家事援助のサービスを提供している場合もあります。お住まいの市町村によって、利用できるサービスの内容が異なりますので、市役所・町村役場の介護保険や福祉の窓口、広報などで情報を集めてみてください。 それでは、自宅で介護を始めることになった時に、外部の支援を活用してうまく介護するポイントを挙げます。 ■気軽に専門家に相談する 介護で困ったことや分からないことがある場合は、まず、市役所・町村役場の介護保険担当の窓口や地域包括支援センターに相談しましょう。保健師などの専門家が対応してくれます。実際、「施設入所しかない」と思いつめて相談したご家族が、サービスを知り、介護のアドバイスを受けたことで、スムーズに在宅介護を開始できたという例も多くあります。家族に突然介護が必要になるとショックが大きいですが、専門家に相談すると解決策が容易に見つかることもあるので、悩みを抱えずに気軽に相談してみましょう。 ■介護支援専門員(ケアマネージャー)とよいパートナーに 介護支援専門員は、介護保険制度の中で、介護の相談や必要な介護サービスなどの調整を行ってくれる人です。よりよい介護生活を送る上でのパートナーとして、信頼できる人にお願いしたいものです。ご本人やご家族の話をよく聞いて、親身になって相談に応じてくれる人、本人の身体や心の状態、家族の希望などを取り入れた計画を提示してくれる人にお願いしましょう。そして、ご本人やご家族も、困っていることや生活や介護の希望などを具体的に伝えていくことが大切です。 ■介護にメリハリをつける 介護は一日の生活の中で行うことなので、介護する方は、「この部分は自分でやってあげたい」「この時間は休んで、鋭気を養いたい」「この時間は仕事・子育てに専念したい」など、自分が頑張る部分と、外部の支援者を活用したい部分と、メリハリをつけて考えることが大切です。 ■施設を選ぶときにはまず見学を デイサービスなどの施設でのサービスを利用する場合は、事前に見学に行くことをお勧めします。介護支援専門員からの情報や近所の評判なども参考になりますが、行われている内容、利用されている方の様子、職員の対応など、自分の目で見ることも大切です。できれば、複数の施設を見学すると、ご本人に合った場を選択するのに役立ちます。さらに、ご本人も一緒に見学できると、実際に利用する時にその場に早く慣れることができると思います。 ■介護の大変さや悩みを言い合える仲間をつくる 介護は時に心身ともにストレスになります。自宅での介護を乗り切るには、そのストレスとどううまく付き合うかも大切です。同じ介護をしている立場で話し合える介護者の集まりに参加するのはとてもよいことです。「介護者家族の集い」などを実施している市町村もあります。「認知症の人と家族の会」 1)など全国組織になっている家族会もあります。今は、インターネットで介護者同士が介護の悩みや疑問を書き込み、アドバイスをし合うサイト 2)もあります。 こうした場への参加は、ストレス解消だけでなく、情報交換の場にもなり、介護に対する新しい視点を見出し、自分の介護を見直す機会になります。 介護サービスは徐々に整備されてきています。介護する人が介護される人を大切に思って接するためには、外部のサービスをうまく活用して、介護する人自身の生活や気持ちも大切にしながら介護することが大切です。次回は、介護に役立つモノやその工夫についてご紹介します。
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