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リレーエッセイ ドクターの呟記(つぶやき) ?マークの克服 群馬大学医学部附属病院産婦人科 周産母子センター助教 村田知美
原稿依頼をいただいた時、つぶやきでなく、ぼやきでも、という上司の意見もあったが、ぼやきは常日ごろ、紙面を賑わしていて、尽きることが無い話題であり、あまり明るい話題ではないので、日常で常に身近な話題と考えたところ、思い当たる事があった。 まだまだ、至らぬことが多く、日々修練の毎日ではあるが、日ごろの診療の中で、その時々でいつも痛感することとして、相手に話をするということ、伝えるということは、非常に難しいということ。理解して納得してもらうなんてことは、さらに難しいということである。医療従事者同士でも、立場や分野が違えばまったくといってほど、知識の足りなさ・認識不足に「?(はてな)マーク」が飛ぶこともある。この「?マーク」を、いかに克服するか。特に、時間の限られた外来診療の中で行っていくのは、私にとっては、至難の技で、いつも四苦八苦している。患者は、あらかじめ他院で話を聴いて来ている。聴いている話の内容を踏まえつつ病状の説明をするので、悪性腫瘍の場合まったくもって時間が足りない。効率良く伝えようとすると、自分の独り善がりで、かえって「?マーク」が飛び交う。相手のペースを尊重すれば、時間の不足もあるが、重要な所見から離れることもあるので、厄介である。女性医師らしく和やかに問診なんて、土台無理な話である(性格的にも無理かもしれないが)。 身内に病人が出た時に、その主治医師からの説明を、自分の親族に説明した際、実際うまく伝わらず、いら立ち混じりに説明した経験がある。 身内同士ということもありお互い甘えがあるとは思うが、日ごろの診療も一緒なのかと思うと、身につまされてはっとした。ついこの間も、姪に、国語の授業の宿題で、どのような仕事をしているのか、インタビューされた。どう説明したら良いのか、考える時間を数日間取らせてもらって、分かりやすく説明したつもりであったが、彼女の感想は「ずいぶん難しい仕事をしていて、大変だね」であった。やっぱり難しい。きっとたくさんの「?マーク」が飛んだことだろう。 身内話はさておき、大学病院の産婦人科と、産婦人科の病棟を持たない外来診療のみの病院とを行き来していると、そこでできる医療の限界ということも考えなければならない。 つまり、近場であるが緊急に対応できない病院と、遠方となるが緊急に対応できる病院、患者にとってどちらが良いかを考え、その上で、診療が成り立つので、この点もうまく伝えなければならない。患者にとっては、当然近場で緊急に対応できる病院と思って受診していて、そこで診療を受けられないことをどうして?と考えると思う。この「?マーク」の克服も毎回毎回大変なのである(最終的には、産婦人科事情のぼやきになってしまったかもしれない)。 わたしの反省が少しでも減るように日々努力しているつもりであるが、反省の素となる患者は、忘れたころにぽっと現れる。これからも、病状を的確に伝えることと、患者にとって最善のこと・明確で最適な治療をシンプルかつストレートに伝えること(これが、今に至る私とかかわって、厳しくご指導いただいている方々の教えだと思っているが)を心掛けつつ、修練の日々は続く。
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