最新医療 痔情
切らねばならない痔 痔核編
医療法人大誠会
内田病院理事長 内田好司
医学の進歩によって今まで外科的に行われていたことが、手術ではなく薬や内視鏡などによって治療できることが増えてきました。痔瘻もメスを用いて外科的に行うことが次第に少なくなっています。肛門(正しくは「肛門管」と称するが、本稿では単に「肛門」という)はシリーズの1回目に示したように、上の方から下がってきた腸の成分が奥に入り込んでできる訳ですが、この両成分の合わさるところに小さい凹が8カ所くらいあり(図1)、この凹の1つ(時には複数の場合あり)に便が入り込み、感染が起こって膿がたまり、肛門の中または外方の皮膚の方に破れると痔瘻になります(「瘻」というのは身体の中にできた病的なトンネルのことを言います。)バイキンに侵されたところを切ったり破壊したりして、再びバイキンに侵されないようにするのが治療の原則です。
しかし、痔瘻は感染の数や位置、深さ、広がりなどが1人ひとり違うので、深ければ深いほど、広がりが大きいほど治療が難しくなります。特に厄介な例は何回も痔瘻の手術を受けている場合です。このような人の肛門はガチガチに硬くなって感染している部分に難渋します。
最近は、感染したろころを外科的に切ったりしないで、ゴム緋もや特殊な薬を染みこませた糸で縛る方法(シートン法といいます)が盛んになってきました。この療法では縛ったゴム(または糸)を付けたまま生活することができること、肛門の変形や統括的の筋力低下を起こしにくいこと、また入院は短期間で済む場合(入院の不要な人もいる)が多い
場合などの利点があります。しかし痔瘻のトンネルが長いか、トンネルがわかりにくい人ほど手技が難しく治療までの日数が掛かることはやむをえません。
一番頻度の高い痔瘻の治療法を図で示しました(図2、図3)。ゴムは5日ぐらいで何回か締め直して、締めたゴムの力で徐々に悪いところを切っていく(あるいは腐食させる)のがこの方法の原理です。肛門の病気はほとんどが良性ですが、痔瘻は長い期間放置しておくとがん化する恐れがあります。また、2最未満の男児に多い乳児痔瘻は単なる切開排膿のみで大抵は治療します。
シリーズ掲載内容
第1回 痛い痔、痛くない痔、その訳は
第2回 切らずに治す痔 その1. 内痔核編
第3回 切らずに治す痔 その2. 痔瘻編
第4回 切らずに治す痔 その3. 裂肛・外痔核編
第5回 切らねばならない痔
第6回 肛門疾患は生活習慣病です
第7回 高齢化社会の到来と便失禁
第8回 肛門科こそ
セカンドオピニオンを!
第9回 専門医が悩む直腸・肛門痛
(掲載内容は変更される場合があります)
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