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第4回 介護を組み立てる 〜ケアプランの作成〜 介護すること、されること 群馬大学医学部保健学科 地域看護学講座教授 佐藤由美
今回は、さまざまなサポートを活用しながら、介護する人・される人の生活の中に、介護をどのように組み込んでいくかについてご紹介します。 図1は、実のお母さまを介護しているAさんが自分で作成したケアプランです。Aさんは80代のお母さまと二人で生活されています。お母さまは、脳梗塞を繰り返し、その後遺症のため、手足のまひと関節の拘縮があり、食事、排泄、着替え、移動などの日常生活はすべて介助が必要な、ベッド上での生活です。言葉に不明瞭さはあるものの、認知症の症状はなく、ゆっくりであれば会話はできます。 介護保険では『要介護5』の認定となりました。『要介護5』の方は、1カ月当たり35万8,300円を上限として在宅でのサービスを受けることができます(図2参照)。Aさんは、サービスの種類や内容をよく調べ、この上限の範囲内でケアプランを考えました。できあがったケアプランには、Aさんの思いがたくさん込められています。 まず、お風呂の好きだったお母さまに、「1日おきには入浴して気持ちよくなってほしい」「風邪を引かないように昼間の暖かい時間に入浴させたい」と、月・水・金の午前中に入浴サービスを入れています。そのうち水曜日は、訪問入浴サービスではなく訪問看護サービスを利用しています。これは、「週に1回は看護師さんに全身状態・健康状態の観察を丁寧にしてもらいながら入浴させたい」という思いでした。 さらに、入浴サービスを受けた日の午後には訪問リハビリを利用しています。これは、「リハビリをして体が衰えるのを少しでも防ぎたい。リハビリは硬くなった身体を動かさなければならなくてつらいだろうけれど、入浴した後だと体が柔らかくなり、リハビリ動作の痛みが少しでも軽くなるから」という思いでした。 また、ほぼ毎日訪問介護(ヘルパー)サービスを利用し、ヘルパーさんにはお母さまのそばに付き添ってもらい、話し相手や排泄介助、食事介助などを頼んでいました。その間にAさん自身が主に行っていたことは、お母さまの食事作りです。「食は生きることの基本。だから、おかあさんの食事は自分でしっかり作ってあげたい。おかあさんの力になるもの、おかあさんが喜ぶものを作ってあげたい。だから、自分が食事作りしている間に寂しくないように、ヘルパーさんにそばにいてほしい」というAさんの願いが込められていました。また、土曜日の午後から日曜日にかけてはどのサービスも利用していません。 Aさんは、「土日くらいは親子2人だけで過ごしたい。たくさんの人の力を借りるのはとても助かるし、なくてはならないことだけれど、家族以外の人が家にいるということは、やっぱり気遣いする。明日は誰も来ないと思うと、土曜日は夜が明けるまで2人で語り合ったりし、その後は昼まで一緒に寝てしまう。こういう時間が自分たちにとっては大切だと思う」と語ってくれました。Aさんの愛情がつまった、家族の生活を大事にしたすばらしいケアプランだと思います。 介護保険は、認定を受けると介護サービスが利用できる制度です。サービス利用の仕組みを図2に示しました。介護サービスの利用を希望する場合は、お住まいの市町村の介護保険担当窓口に申請します。担当者による介護必要度の訪問調査と、主治医の意見書をもとに、介護認定審査会が要介護度を判定します。 その結果、要支援であれば「介護予防サービス」が、要介護であれば「介護サービス」が利用できます。要介護度に応じて介護保険から支給される上限額が設定されており、その範囲なら1割の自己負担、上限を超えた場合はその分が全額自己負担となります。サービスを利用するには、1カ月間に利用するサービスの計画(ケアプラン)を組み立てて市町村に申請し、掛かった経費の1割をサービス事業者に支払うことになります。 ケアプランを作成しないでサービスを利用することもできますが(図2の6?c)、その場合は掛かった経費の全額をサービス業者に支払い、後で市町村に申請すると9割分が払い戻されます。 ケアプランは、介護支援専門員に無料(介護保険から10割支給)で作成してもらうことができます(図2の6?a)。介護支援専門員はケアプラン作成やサービスの調整に関する専門の資格を有した人であり、地域内の介護サービス情報にも詳しく、利用者の心身状況や要望に応じてサービスを組み立ててくれます。また、ケアプランを利用者自身が作成することもできます(図2の6?b)。 利用者が主体的にサービスを選択することを重視して、マイケアプランを作成する人も増えており、そのような人たちを支える全国的なネットワーク※もできています。ホームページには実際にマイケアプランを作成した方々によるケアプランの作成方法やコツが紹介されていますので、自分で作成する場合も介護支援専門員に作成を依頼する場合も参考にするとよいと思います。 最後に、ケアプランを作成する時のポイントをまとめます。 【生活リズム・生活スタイルを大事に】 介護する人・される人のこれまでの暮らしや今後の生き方や希望を大事にして、介護に生活を合わせるのでなく、生活の中に介護を組み込むようにすることが継続の秘訣です。 【本人の持っている力や意欲に注目して】 サービスを利用することによって本人の力や意欲を損なわないか、引き出すかに注目して介護を組み立てることが大切です。トイレまで行くことを目標にリハビリをする、起き上がって自分で食事をとるなど、大変であっても努力することやその達成感が本人の生きる力を支えることになります。 【本当に必要なものから】 介護のサービスや介護用品にはさまざまな種類があり、それらをたくさん使った方が楽になる気がします。しかし、Aさんのように、親子2人だけの時間も大切です。一番困っていること・必要なことから試すようにします。やってみて不足ならば増やしていけばいいのです。サービス疲れをしないこともコツの1つです。 〈参考文献・HP〉 ※全国マイケアプランネットワーク http://www.mycareplan-net.com/
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