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最新医療 痔情

切らねばならない痔 その2 痔瘻編
医療法人大誠会
内田病院理事長 内田好司
図1 浅い痔瘻の瘻管の経路を示す模型図

 肛門は腸が下がってきた成分と、肛門の皮膚の成分が落ち込んでつながってできること、そのつながり目の凸凹の部分(歯状線という)の凹の部分が感染の入り口であること、痔核・痔瘻・裂肛の中では痔瘻の診断・治療が一番厄介であるということはすでに述べました。

 痔瘻は浅く短いトンネルと、深く長いトンネルでは、診断も治療も難易の差が大きく、連載3回目の"切らずに治す痔瘻編"でゴムひも(または特殊な糸)などで縛る方法は、感染の「入り口」(一次口または原発口)とトンネルの通路や皮膚などにできた「出口」(二次口)が確認された場合でないと取り入れにくい方法です。

 それで「切って治す」という話になるといくつかの要因を考えることになります。前述したトンネルの深浅・長短、さらに肛門の前後・側方などの位置など、またトンネルの確認ができるかどうか、また痔核などの合併症の有無、さらに、今までにどの位、どのように悩んでいたか(深い痔瘻では病悩期間が長い時はがん化も考慮!)、手術を受けているか否かなどをよく聞き出します。

 さらに" 根治性"と"肛門の括約機能温存""治療期間"これらのいろいろなパターンを考慮したうえで切る方法を選択しなくてはなりません。

 「切る」という操作は肛門の機能を損なわず、変形なども少なく、早く根治するために行う訳です。

 肛門の後方(背中側)の浅く短い痔瘻は、トンネルの屋根を切って感染によって変化した組織(感染組織)をかき落とす「開放術式」を選択することが多い(図1・図2)。

 それ以外の痔瘻では感染の入り口と感染の源である肛門腺(原発巣)および感染による感染組織の除去、または破壊をする必要があるので、感染源や感染組織が深いときには括約筋を損なうリスクが高くなります。肛門の解剖と機能をよく知っていないと無駄な切開や、逆に不十分な操作になります。

 そこで括約筋を温存する術式(「括約筋温存術式」)と、場合によってはゴムひもなどで縛るシートン法を併用するという場合もあります。

 トンネルが浅く、短い手術はやりやすく、再発も少ないですが、深く長い痔瘻は正しい診断と共に、初回の手術で治さないと再発の手術はいっそう難しくなります。

シリーズ今後の掲載予定
第7回 高齢化社会の到来と便失禁
第8回 肛門科こそ
セカンドオピニオンを!
第9回 専門医が悩む直腸・肛門痛
    (掲載内容は変更される場合があります)
第10回 肛門科こそセカンドオピニオンを!
第11回 専門医が悩む直腸・肛門痛
    (掲載内容は変更される場合があります)

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