一人の女性が生涯に産む子供の推定人数を示す本県の昨年の合計特殊出生率は1・36。一九七四年の2・23をピークに、減少傾向が続いている。社会保障制度の崩壊や税収減、地域活力の低下に直結する少子化への対策は行政にとって火急の課題だ。
「子供を遊ばせる公共施設は多い。乳幼児の医療費助成の所得制限もないし、子育てしやすい環境」。転勤で甲府、熊谷、横浜と一年ごとに転居し、四月から前橋市に住み始めた母親(31)はそう話す。県は乳幼児医療費助成で「所得制限なし」「一部負担金なし」「入院時食事代補助」「現物支給」の四原則を堅持しているとして「子育て支援の水準は高い」と胸を張る。
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| 本県の昨年の合計特殊出生率は1.36。減少傾向が続いている=前橋市内の産婦人科医院で |
しかし、市町村から県への要望で多いのは、医療費助成の対象年齢の引き上げ。全国的には入通院無料を未就学までとする都道府県が多い中、県の助成範囲は通院三歳未満、入院五歳未満まで。それ以降は市町村が独自に上乗せしているため、助成範囲はまちまちだ。
中学卒業まで入通院を無料にしている町の担当者は「アレルギーなどの慢性疾患で定期的な受診が必要な子供が増えている」と、引き上げ理由に子育て環境の変化や新たな課題があることを強調する。
教育現場にも、新たな課題がのしかかる。
席に着けない、話が聞けない、すぐ先生を呼ぶ―。前橋市内の女性教員は「五年ほど前から集団生活の訓練ができていない児童が多くなり、授業に支障を来すことが増えた」と打ち明ける。
県は一九九九年、全国に先駆けて非常勤講師による少人数指導「さくらプラン」を開始。配置基準や対象学年を拡大してきた。同じ教員は「一人の子供にかかりきりにならなくてすむ。さくらの先生はありがたい」と話す。
しかし、制度が今後、効果的に維持されていくか不透明な部分もある。
非常勤講師は教員採用試験の浪人者が多いが、週四日までの勤務で収入は年間百四十万円。正規教員を目指す非常勤講師の女性(24)は「この収入では自宅通勤でもやっと」とこぼす。「授業への参加は有意義だが、仲間内では『三年が限度』との意見がもっぱら」なのだという。
◎実現へ発言に注目
子育て分野では三人が十五歳、中学校卒業までの医療費無料化を掲げている。子供を持つ親の関心は高いだけに、費用の試算や財源確保の見通しについて、今後、実現に向けた各候補の具体的発言が注目される。
保育の充実は四人とも重視。保育士の増員数や学童保育の完全実施などの具体策もみられる。国は本年度から放課後子ども教室の設置を推進しており、学童保育や子育て支援センターとの連携も課題となる。多様化した保育関連の施策を整理する必要もありそうだ。
教育分野は四人そろって三十人学級の推進を挙げた。対象学年に幅はあるが、「三十人」のくくりは共通している。三十人学級を非常勤講師で行うかどうかは判断が分かれた。医療費無料化と同様、財源確保と切り離しては論じられない。