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| 児童の下校を見守る自主防犯パトロールの保護者=高崎新高尾小 |
子供を狙った凶悪な犯罪が絶えない。太田市内で二十二日、帰宅途中の小学四年女児が廃屋に連れ込まれる誘拐事件が発生。犯人の男は逮捕され、女児は無事だったが、学校関係者らに緊張と衝撃が走った。
「親として人ごとではない。警察だけに頼らず、地域住民や保護者が子供たちを守らないと」。市内のある小学校PTA会長は身近で起きた犯罪に危機感をにじませた。
治安の悪化が叫ばれて久しい。指標となる本県の刑法犯認知件数は増加傾向をたどり、〇四年は過去最悪の四万二千六百四十三件に上った。対前年増加率4・6%は全国最悪。一日平均、県内全体で百二十件近い犯罪が確認されたことになる。
危機的な状況に、県は警察官を約五百人増員したほか、地域が行う防犯パトロールの支援を盛り込んだ犯罪防止推進条例を整備。自主防犯パトロール団体は〇三年の四十三団体が、今年五月末には五百八十三団体(約六万六千人)と大幅に増えた。
官民一体の犯罪抑止活動の効果は大きく、認知件数は〇五年から二年連続で減少、昨年は約三万二千件に。今年に入っても減り続け、五月末現在の対前年減少率16・2%は全国一位だ。
しかし、十年前の認知件数は二万件台前半で、高水準にあることに変わりはない。県民にとって体感治安が回復したとは言い難い。
さらに、インターネット犯罪や振り込め詐欺など、犯罪の巧妙化、多様化が進み、首都圏を拠点にする犯行グループが県内外で犯行を重ねる広域化も目立っている。本県では伊勢崎や東毛地域を中心にした外国人犯罪が特徴だ。
「どこに不審者がいるか分からず、子供が帰宅するまで不安。途中まで迎えに行くこともある」。高崎新高尾小学校で下校時の防犯パトロールを担当していた母親(32)は、治安回復への切実な思いをそう語った。
◎多面的な論議必要
知事選の主な立候補予定者四人とも、治安回復に関心が高い。マニフェストなどでは、地域を警察に並ぶ防犯の担い手と位置づけ支援することを、それぞれが施策の柱に据えており、治安回復の手法が争点となることは現状ではなさそうだ。
しかし、上毛新聞社と群馬大が昨年十一月に実施した県民世論調査では「治安の悪化を感じる」が81%に上った。治安回復は県民の大きな関心事であり、多面的な政策論議が必要だ。
交通事故対策にも四人が触れている。「車社会」の本県にあって、昨年の人口十万人当たりの交通事故負傷者数と発生件数は全国ワースト二位。悪質な飲酒運転の犠牲者が絶えず、法律が厳罰化される一方、本県の交通環境整備など知恵を絞った手腕が求められる。