《2007群馬県知事選》
(2007/06/30)

《県政の課題 ’07知事選(5)》 企業間に広がる格差 産業

 ここ数年で大型旅館の破たんが相次いだ水上温泉。一九九六年度から観光客数の落ち込みが続く。今年に入って買収など破たん旅館再建の動きが活発化。「好転への弾みに」と地元の願いは切実だ。
 温泉など特定の観光資源だけに頼らない誘客を目指し、県は昨年、観光局を新設した。産業視察などを含めた「広い意味の観光」の推進も功を奏し、観光来県者は十年前から15%アップした。

観光客の引き合いは激しさを増し、県の誘客PRに寄せる関係者の期待は大きい=伊香保温泉の石段街

 だが、経済波及効果が大きい宿泊客数は九〇年度の千百万人をピークに減少傾向が続き、二〇〇五年度は七割に落ち込んだ。県はアジアなど海外からの誘客にも力を注ぐが、効果は未知数だ。
 宿泊客層が団体から個人にシフトする中、全国旅館チェーンの参入による価格競争も激化する。「差別化を怠れば淘とうた汰される」(伊香保の老舗旅館)との焦燥感は強い。
 一方、県内は誘客増に結び付く明るい材料もある。旧官営富岡製糸場と絹産業遺産群が二十七日に世界遺産暫定リスト入り。今年八月には尾瀬が単独公園となり、二〇一一年度には北関東道が全線開通する。「このチャンスを逃すようでは困る」。旗振り役の県に対し、厳しい視線が注がれる。
 好調に見える産業や雇用分野にも課題は多い。
 建築現場で日給で働く桐生市の男性(30)は、現場監督など重要な役割をこなすが、外注費扱いの給与に賃上げはない。正社員にするよう会社に求めても、「コスト削減を求められて苦しい」の一点張り。男性の胸に「格差」が重く響く。
 本県の有効求人倍率は一・八二倍(五月)で全国トップ水準だが、正社員に限れば〇・七〇倍(同)。非正規雇用が底上げしている実態がある。
 「格差」の象徴とされるフリーターやニートの若者に対し、県はカウンセリングや職業体験で就職を支援。三年間で四千人の就職につなげたが、県内三万人と推計される総数から見れば、緒についたばかりと言える。
 工場立地は件数・面積ともに本県は全国トップクラス。好調な電機関連企業などで設備投資熱が高まる一方、レジャー産業や建設などは苦戦が続く。昨年度の倒産による負債総額千二百億円は過去十年間で最悪。企業間の業績格差も、広がるばかりだ。

◎将来像描く具体策を

 知事選に出馬する主な候補四人のうち三人が企業誘致を公約に掲げる。それぞれ手法は異なり、選挙戦で争点の一つとなりそうだ。二候補が掲げる進出企業への助成制度は、他県でも整備の動きが広がっている一方、既存企業の不公平感につながるとの指摘もある。費用対効果を示しつつ、地域の将来像を描く論議が期待される。
 観光振興も二人が誘客の目標値を設定するなど、重視の姿勢を強調。やはり具体的な手法が争点となる。
 他県や海外との誘客合戦が激しさを増す中、五年後に全面開通する北関東道は集客数を増やす好機であると同時に、観光客が流出する転機ともなりうる。実効性のある宣伝戦略や、観光地のブランド力を高めるためのアイデアが求められている。

(おわり)


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