現新五人で争う知事選は、各陣営が精力的に遊説をこなし、日増しに熱を帯びてきた。行財政改革や少子化対策、医師不足問題、地域振興策など山積する県政の課題について各候補はどう考えているのか。山本龍、小寺弘之、吉村駿一、大沢正明の主要四候補に対して上毛新聞社が告示前に行ったアンケートを基に、政策的な論点や対立点などを探る。
国も地方も巨額の借金を抱える中、行財政改革は県政の大きな課題。知事には、無駄のない効率的な行政執行と的確な財政運営が求められる。
選挙戦の争点になっている多選問題で、多選禁止条例制定の検討について尋ねた。山本候補と大沢候補が賛成し、小寺候補と吉村候補は「選挙による県民の審判がすべて」などと反対した。
山本候補は「最大の行財政改革はよどみとしがらみの無駄をなくすための知事の交代」と訴え、大沢候補は長期政権による閉塞(へいそく)感を指摘し「風通しの良い県政で職員の士気を向上させる」と意気込む。
◎スタンスに違い
コスト縮減策として議論になっている知事の退職金大幅引き下げについては、四候補全員が賛成した。山本候補は「退職金を廃止し、改革を率先垂範する」と一歩踏み込む。これに対し、小寺候補は「第三者機関の答申を尊重して大幅に引き下げた」としており、同じ「賛成」でもスタンスに違いがある。
民間委託や指定管理者制度の推進については、山本、小寺、大沢の三候補が積極的な姿勢を示すが、吉村候補は「コムスン事件でも明らかなように、公的サービスの民間丸投げはサービス低下と責任の投げ捨てになる」と指摘、規制緩和や民間委託・民営化に疑問を投げ掛ける。職員削減にも吉村候補は反対し、正規雇用の拡大を訴える。
副知事二人制に関しては小寺候補が「トップマネジメント強化のために必要」として賛成。吉村候補と大沢候補は「検討する」とし、山本候補は「原則は小さな県庁を目指す」との考えを示す。
行財政改革の手法ではこのほか、小寺候補が「難しい役所言葉を分かりやすくする」と、意識改革に取り組む姿勢を強調。大沢候補は「無駄な箱物を廃止して行政をスリム化し、さまざまな施策で県収入アップを実現する」と訴える。
◎八ツ場は2分
公共事業への取り組み姿勢も、知事を選ぶ際の重要な要素になる。
八ツ場ダム建設の見直しについて、山本候補と吉村候補が賛成し、小寺候補と大沢候補は反対した。上信自動車道の早期整備には吉村候補が反対し、ほかの三候補は賛成。当面、公共事業を抑制することには、山本候補と小寺候補が反対した。
吉村候補は「八ツ場ダムや増田川ダム、大規模道路計画を見直し、公共事業の“質”を変えるべきだ。財源も生まれる」と持論を展開する。
山本候補は「すべての事業は例外なく見直す」と主張。一方で、「一律削減でなく、暮らしを守る公共事業は増やす」との立場をとる。
大沢候補と小寺候補は北関東自動車道や東毛広域幹線道路などの整備をマニフェストに掲げる。大沢候補は「すべての公共事業を抑制するのでなく、必要なものは県民ニーズを考慮しながら行う」と強調。小寺候補は八ツ場ダムについて「国策で進められている。水没地域住民の生活再建を国に要求する」と述べる。
市町村合併推進に知事がリーダーシップを発揮することについては、大沢候補と山本候補が賛成した。大沢候補は「飛び地や一郡一町など現状においても課題がある」、山本候補は「知事が合併に無関心だったことが飛び地などの混乱になった」と指摘する。
これに対して、小寺候補は「平成の大合併で住民の主体的な意思により全国平均を上回る合併が進んだ」と反論、住民の主体性尊重を掲げる。吉村候補は「合併の押しつけには反対」と述べる。
道州制の導入については山本候補が賛成し、吉村候補は反対した。