福田康夫元官房長官と麻生太郎幹事長の一騎打ちとなった自民党総裁選。国会議員数では「福田優位」の情勢だが、国民の支持を示すバロメーターは都道府県連が予備選なども実施する地方票に示されるとの認識は同じ。結果は発言力などにも影響を及ぼすだけに「本当の勝負は地方票の獲得数だ」とばかりに働き掛けを強めた。
「必死の思いで戦う」。都内のホテルで十五日に開かれた出陣式で決意を述べる福田氏の横には、森喜朗元首相をはじめ町村信孝外相、古賀誠元幹事長、谷垣禎一元財務相ら派閥の領袖クラスが並んだ。麻生派を除く八派閥の支持を得ている上、小泉純一郎前首相引っ張りだしを画策した武部勤元幹事長や若手議員、郵政民営化に反対し離党、復党した堀内光雄元総務会長らも姿を見せた。
ただ、派閥単位で福田氏を推す姿に党内外には「国民の声を無視した派閥談合」との批判が強い。同日の選対会議では「もう派閥は締め付ける必要はない。地方で過半数を占めた方が格好が良い」との意見が続出し、急きょ福田氏の農村視察の実施などを決めた。
町村派幹部は「来週火曜日まで、地方組織、党員への電話作戦を展開する」と説明。支持する国会議員数を生かした活動を展開することで地方票でも麻生氏を上回り、主導権を完全に確保するのが狙いだ。
「たった一晩で派閥の足し算が出来上がった。精いっぱい、劣勢の中で戦っていきたい」
麻生氏は、党本部の会議室に設置した選対本部で十五日午前に開いた出陣式でこう強調した。津島派の鳩山邦夫法相や山崎派の甘利明経済産業相ら他派閥の議員も含む約三十人が顔を見せたこともあり、悲壮感はなかった。
陣営幹部は「みんなが思っているほど劣勢ではない。八派連合といっても水漏れが激しい」と意気軒高。三度目の挑戦となるだけに、過去の総裁選で麻生氏を支持した議員や、派閥に批判的な各派の中堅、若手議員、無派閥議員らに既に水面下での接触を始めており、「好感触もある」という。
それでも「議員票の過半数獲得は難しい」(幹部)のが実態だけに、同陣営は地方票で勝負をかけなければならない。麻生氏の知名度や人気を生かして一定の票を獲得すれば、敗北しても「無視できない存在」(中堅議員)となれるとの思惑もある。麻生氏は十五日、空き時間には自ら地方組織の幹部に電話し、協力を要請し続けた。
漫画やオタク文化に精通した麻生氏の魅力を積極的にアピールするため、東京・秋葉原などで独自の街頭演説を行うことも検討する。小泉氏が地方票で圧倒的に勝利し、支持議員数の差を一気にひっくり返した二〇〇一年総裁選を目指している。