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詩人・作詞家 
古館多加志
さん(富岡市下黒岩)

【略歴】本名は俊(たかし)。東京で生まれ、甘楽町で育った。明治大学卒。元東京新聞記者。在学中から童謡や歌謡曲の作詩に取り組む。94年から県作詩作曲家協会会長。日本童謡協会会員。他の筆名にだて・しゅん。


世に問うた作品も多く

◎“古里”の歌づくり

 私の所属する県作詩作曲家協会が設立されたのは、一九六八年。本県にゆかりがあり、日本音楽著作権協会などに加盟の音楽仲間の親交を一義的な目的に、スタート。当初のメンバーは、五十余人であった。
 内部組織の作詩、作曲の両部会では毎年一度、両部会員が抽選で歌づくりのコンビを決めて、オリジナル作品を発表している。それは、一月恒例のイベント「ふるさとに唄う心の歌謡曲」。初めての開催は、七七年十月だった、と記憶している。
 県都前橋での会場を軸に、これまでに渋川、藤岡、富岡、笠懸、安中と巡って、地域住民との触れ合いの中で、十一回も開くことができた。お披露目した曲数は、三百余曲に上る。
 オリジナルは、生バンド演奏により県内のプロ歌手らが歌い、一般のカラオケや踊りもあってにぎやかだ。発表会に先駆けて、作品の研修会を催し、中央で敏腕を振るう専門家を招きアドバイスをいただく。講師では、十月十五日に冥界(めいかい)へ旅立たれた作詩家の野村耕三氏(北島三郎の『川』など手がける)や、代表作詞に『抱擁』などがある荒川利夫氏らも。
 また、レコード会社のディレクターを迎えて、商品価値観について腹蔵ない意見をぶつけてもらう。「続行に意義がある」と、毎回足を運んでタクトをとる作曲・編曲家、坂下滉先生に頭が下がる。
 さて、既に発表したオリジナルでは「ふるさと群馬」を意識しての歌謡、民謡も多く、興趣深い。これらの作品群から、テープ化されたりして、いわば世に問うた幾つか、ピックアップしたい。『前橋初市まつり』(詞・桐生春男、曲・金井和郎)は、確か二回目の発表で、後に沢ゆかりさんが吹き込んだ。
 三回目の『赤城山麓(さんろく)』(詞・高坂のぼる)は、歌詞の内容と歌題を『望郷風の村』(曲・中村典正)に変えて昨年五月、クラウンから門脇陸男・唄でメジャー作品となった。そして八回では「上毛かるた・読み札」と銘打って特集。うち『三国路慕情』(詞・桂次郎、曲・笠見実、唄・佐渡八重子)や、私が作詞の『富岡おどり』(曲・坂本幸三、唄・神尾美幸、小幡光男)などが。
 さらに九回では『母の暦』(詞・田島泉、曲・双葉あきら、唄・天海たけし)、節目の十回では、私が手がけた『恐竜浪漫・中里おどり』(曲・中野喜久勇、唄・神尾美幸、近藤昌弘)も。新世紀初頭の今年は『晩秋』(詞・大澤陽央、曲・笠見実、唄・佐渡八重子)と、相次いでいる。
 来年一月二十七日、私の郷里である甘楽町で十二回目の挙行を予定。会員の手づくり作品は二十一曲だ。旅行を兼ねた“作品研修道場”は九月、榛名湖畔の宿で行われた。この勉強会を糧に、作品の仕上がり状態は順調のようだ。県民芸術祭参加イベントで、会場を城下町へ移します。どうぞよろしく。

上毛新聞 2001年11月23日掲載