視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
高崎周辺ダウン症児・者とともに生きる まゆの会前代表 
濱村 泰明
さん(高崎市昭和町)

【略歴】前橋高校、千葉葉大学人文学部国文学科卒業。東京都内の出版社勤務の後、フリーランス・エディター(書籍編集業)になり、現在に至る。高崎に居住して8年。子ども3人の父子家庭。


普通学級で学ぶ機会を

◎ダウン症児

 普通学級に入学したダウン症のAちゃん。入学にあたって担任となる先生方が、ダウン症の勉強会を行ってくださった。まだ、ひらがなを数字書ける程度だが、毎日喜んで学校に通い、ノートは落書きで真っ黒である。家では着替えの遅いAちゃんだが、学校では皆のまねをしてちゃんと着替える。ダウン症の子どもは、まねがうまい。普通の子に交じれば、普通の子のまねをし、ひょうきんでクラスの人気者にもなる。しかし、思いこむと頑固で、てこでも動かない。

 同じくBちゃん。数日間入院した時は、クラスの全員がお見舞いの手紙を書いてくれた。時にはいじめられもするが、プールで面倒をみるのは、暴れん坊のYくんである。

 同じくしっかり者のCちゃん。進級の際に特殊学級へ移るかどうか尋ねたら、「いやだ」と泣いた。人の手は借りたがらない。

 一方、特殊学級へ通い、いくつかの教科を普通学級で受けているDちゃん。授業参観の時に、隣の席の子にサインペンでちょっかいを出し始めた。隣の子はいやがってよけるだけ、先生は見て見ぬ振り。やむにやまれず、親が注意をし、子どもたちに対処の仕方を教えた。もちろん、特殊学級できちんと成長している子どももいる。

 普通学級に通っている子には、ひんしゅくを買ったりすることもあるが、クラスの全員が同じ「仲間」という意識を持ち、ときには一丸となって守ってくれたりする。一方、特殊学級の子に対しては、面倒を見てくれる子も多くいるが、基本的には「お客さん」であり、クラスの「仲間」になりにくい。

 バリアフリーが唱えられ、ハード面では一定の進展がみられるが、心のバリアをフリーにするのは難しい。一般企業などに就職して、一番問題となるのは、人間関係である。同僚は「どう対処してよいかわからない」と困り果て、ダウン症の子は同僚らを「怖い」とおびえる。学校生活を別々に送っていた者たちが、成人またはそれに近くなって突然一緒に暮らすようになるのだから、理解し得ないほうが当然である。特にダウン症者は、成長すると可塑性が失われてくる傾向があるので、親でさえ戸惑うことがしばしばある。

 いじめ、学校崩壊などが問題とされる今日、障害児とともに学ぶことは、先の例のようにこれらの問題に対して有効だろう。子どものときから一緒に学校生活を送る中で、ダウン症など障害児のことを自然と学び、自然と対処していくようになる。A、B、Cちゃんの同級生が大人になった十数年後には、本当のバリアフリーに大きく前進するだろう。

 入学時に養護学校、特殊学級と振り分けするのは止め、原則として地域の小学校の普通学級に入学し、様子を見ながら、個々の障害と個性にあった教育を受けられるようにしたらどうだろうか。それには教員の充実が前提であり、少子化と現在の就職難への対応としても有効と思うのだが。

(上毛新聞 2001年11月26日掲載)