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赤城高原農業観光協会長 
後藤 忠彦
さん(昭和村糸井)

【略歴】利根農林高卒。元同村農業委員。昭和村りんご研究会の会長を務め、農業の新技術導入など研究。赤城高原農業観光協会の初代会長に就任。昭和村議。


生産者と消費者つなぐ

◎農業観光協会

 県の北部に位置する昭和村は、標高七〇〇メートルから三五〇メートルあたりまで、広大な農地が広がっています。そして、保水性に優れ、水はけの良いこの土地を活用して、新鮮で安心して食べられる野菜や果物を作り、消費者に直接届けたいという思いから、私たちは赤城高原農業観光協会を設立しました。

 これまで作物は、市場への出荷がほとんどで、小売店を経て消費者のもとへ届いていました。しかし、それでは品質も落ちてしまう上に、値段も高くなってしまいました。また、消費者の声も生産者に届くこともありませんでした。これでは消費者の求めているものを作ることはできません。そこで直接、消費者とやり取りができる直結農業をしていこうと考えたのです。

 手始めに、現段階で農業体験のできる村内の作物観光マップを作り、配布を始めました。

 次に旬を知ってもらうための栽培カレンダー作りに着手、現在作製中です。

 最も大切な品質に関しては、生産者同士の研究・話し合い等や、他の先進地への視察を行い、「これは本当においしい」と言われるように研究を重ねています。もちろん味だけでなく、体に良いもの、自然環境にも配慮して作業を行っています。

 村で近年問題となっている農業用ビニールの処理についても、村をあげて取り組み、指導を行っています。

 りんご研究会でも、農薬を少しでも減らし、安心して食べてもらうために、殺虫剤ではなく、昆虫の性フェロモン剤や、捕虫灯の利用を試験的に導入し、取り組みを開始しています。

 将来的には、昭和村に来れば、どの作物でも、だれが作った物でも、同じように、新鮮でおいしく安心して食べられるようになればと考えています。

 また、私たちは生産者と消費者との関係を太くつなぎ、多くの人たちと交流する場を設け、心あたたまる付き合いをしていきたいと思っています。言うなれば、消費者にとってのもう一つの田舎の家のような付き合いです。このような農業をやりたいと思っていた人も多かったと思いますが、一人で行動することは容易ではありません。こうしたなかで、会が発足することとなりました。

 まだスタートしたばかりで、すべてが順調にいっている訳ではありませんが、みんなで目標に向けて協力しながら活動をしています。そして今後は、生産者同士の関係、消費者との関係を大切にし、いつまでも支持してもらえるように努めていきたいと思っています。

(上毛新聞 2001年12月8日掲載)