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農業 
橋場幸夫さん
(笠懸町久宮)

 【略歴】桐生商卒。事務所勤務を経て83年就農。元桐生地区青年農業士会会長。笠懸町で、年齢を超えた仲間とともに地域の活性化を目指す「昭和群(むら)おこし会」を結成、代表を務めた。


生きたあかし残したい

◎群おこし会

 昭和生まれが群れて何かをやる会「昭和群(むら)おこし会」が平成三年に発足して以来、私は同サークルに参加しています。二十代から五十代までの男女七人の会員と十数人の協力者で、ガレージセール・写真展・町を知ろう〇×クイズ・歌声喫茶・映画『眠る男』を語る会・陶芸・ひな祭り展などを町内で行ってきました。発足当初の二年間は朝市を開き、収益金から雲仙災害や阪神大震災への寄付を行っていましたが、遠方への寄付よりも地域に目を向けた活動へと、次第に方針が変わりました。

 笠懸町は公民館活動が盛んな割に文化祭への来客が少なく、そのため会は、来客が増えることを願って、文頭で紹介したさまざまな催しを文化祭の日程に合わせて行いました。中でもガレージセールは、一千人を超える集客効果を生むイベントになりました。会員は県の環境アドバイザーに登録していたこともあり、家庭内の不要品リサイクルを目的に行ったガレージセールですが、せっかく大勢の人が集まる会場なので楽団に演奏をお願いするなど、相乗効果を生む催しとなるよう心がけました。他には、町の夏祭り仮装パレードでごみの分別回収のPRをしたこともあります。

 平成七年には、地域で活躍する団体に送られる「群馬県ライフアップ県民運動」の表彰を受け、大きな活力となりました。十年春からは、町に新たな風物詩をつくろうという思いで、「みんなが集うひな祭り展」に取り組みました。家庭で飾られることのなくなったお雛(ひな)さまを一同に展示するという企画で、十三年まで行いました。

 試行錯誤を繰り返し活動してきた「群おこし会」ですが、活動の基盤を失ってしまった現在、活動を休んでいます。ガレージセールの開催を心待ちにしている県内外の皆さんから、多くの問い合わせを頂きながら、開催の予定がないことは大変申し訳なく思っています。

 そもそも「群おこし会」は町内の喫茶店に集まる常連客によって発足し、これまで行ってきた催しは店長と客との雑談義の中で発案されたものでした。自由で、変幻自在ながらも何かの役に立つ活動をする団体であることを目指していました。しかし、十三年一月にその喫茶店の店長が他界し、会の活動も止まったままになりました。

 私は二十四歳の時にこの喫茶店と出合い、人生の一部分として多くのことを学びました。そして「群おこし会」として活動した十年間、世の中に向かって可能性の種をまき続けてきたと思っています。私にとっての種は「この地域に自分が生きたあかしを残したい」という思いの芽を出しました。この芽は、環境がどう変わろうが、私の中で成長を止めることはないと思います。「群おこし会」のまいた種が、世の中に何かの形で発芽してくれることこそ、活動を続けてきた喜びだと私は思っています。同じ思いを持った仲間と共に、必ず活動を再開したいと思います。



(上毛新聞 2002年1月5日掲載)