視点 オピニオン21
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上州の夏祭り実行委員会・前事務局長
滝沢 細雪さん
(前橋市天川大島町)

【略歴】嬬恋村生まれ。前橋工業短大卒。東日本デザインビジネス専門学校非常勤講師、建築デザイナー。1999年上州の夏祭り実行委総務副部長、00年、01年同実行委事務局長。


歩きながら新しい発見

◎まちづくりに参加

 三、四年ほど前から「まちづくり」にいろいろなかたちで参加してきました。まちづくりと一口に言っても、何々丁目といった小さなコミュニティーの単位から、市や県など地域、都市といった大きな単位のものまでさまざまです。

 きっかけは、前橋中心商店街の空き店舗調査でした。当時、私は大学の研究室でアシスタントをしていて、半年くらいの研究調査の間、商店街とその近辺を歩き回りました。久しぶりに街の中を散策した気分でした。高校生の時、毎日街の中を抜けて学校に通っていましたが、今では必要な時にしか街の中を歩いていないのにふと気が付いたのです。

 二十年くらい前と比べると、まちの印象は大分変わっています。アーケード街の中央には並びきれないほどの自転車が置かれ、買い物で行き交う人々が多く、自転車でそこを通り抜けることが困難だったことを思い出します。

 「三十年前の中心街は、多くの人々が行き交い活気があった」。こんな話をよく耳にします。このようなことは前橋だけではありません。商店街の空き店舗、街中が空洞化していくスプロール化現象、少子高齢化、交通、環境、教育など生活にかかわるあらゆることが、問題として語られます。商店街は長い歴史の中で、街の中心的存在としての役目を持ってきたはずです。街の中に人がいないということで、自分の住んでいる街の歴史が見えなくなってしまうのは寂しいことだと思います。

 私の育った場所は自然が豊かで、野山を駆け回って遊びました。今でも印象的な風景、楽しい記憶は鮮やかに残っています。外国に行くと、「あなたの住んでいる街とはどんな街ですか?」とよく聞かれます。会話のきっかけなのですが、自信を持って答えることがなかなかできませんでした。私自身、前橋の街をよく知らないのではないかと思います。

 空き店舗調査をしていると、街のとらえ方が以前とは違ったものとして映ってきます。坂のあるアーケード、S字に曲がるアーケード、普段は気がつかない飲み屋横丁、西洋の近代建築をほうふつとさせる建物、わき道に入ると初めて目に飛び込んでくる建物の面白い横顔、フランス映画の一場面のような一角、古い町名やその由来など。視点を変えると、今までに見えていなかったものが数多く見えてきます。

 街を知ることで、街の中に居ることが楽しく、新しく街の一角を自分の手でつくることを考えたくなります。街の持っている顔は、日々の暮らしの中にまだまだ多く眠っているはずです。

 「まちづくり」は「居る」こと、「住む」ことからはじまります。住むことによりさまざまな活動がはじまり、コミュニティーが形成されていくのです。自分の住む街を知り、周りの人と共有していくことでコミュニティーができます。
 これからの子供たちが、自信を持って自分たちの街を語れるように、また街を楽しめるように、新しい発見をしながら街を歩きたいと思います。

(上毛新聞 2002年1月27日掲載)