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高瀬クリニック院長
高瀬真一さん
(高崎市南大類町 )

【略歴】勢多・東村出身。桐生高校、群馬大学医学部卒。74年、同学部集中治療部助手。85年、国立療養所足利病院医長。89年、済生会前橋病院循環器内科部長。95年、群馬循環器病院副院長。98年から現職。


動悸の対応

◎冷水飲んだり少し息む

 動悸(どうき)を感じて来院される患者さんはたくさんいますが、その原因はさまざまです。例えば、緊張した時に動悸を感じるのは、ノルアドレナリンの分泌が高まるためで、生理的現象です。また、風呂(ふろ)上がりにも動悸を感じることがあります。入浴により血管が拡張し、血圧が下がります。心臓は血圧の低下を補うために、心拍出量を増やすことで対応します。心臓の一回拍出量はあまり増やせませんので、脈拍数を増やすことで心拍出量を増加させています。このような調節が体の中では行われているのです。

 医学的に問題となるのは、不整脈が原因の場合です。動悸を感じる不整脈は、脈が急に速くなる頻脈性不整脈がほとんどで、発作性心房細動、発作性上室性頻拍、心室頻拍などがあり、急にドキドキしてきたと感じます。

 しかし、上室性期外収縮や心室性期外収縮でもドッキンと感じます。この場合、脈を取っているとドッキンと感じるときに脈が飛びます。洞機能不全症候群や完全房室ブロックといった脈が遅くなる不整脈でも、脈が速くなったり遅くなったりするときに動悸を感じたりします。

 だが、脈が遅くなったりあるいは数秒心停止が起こりますと、脳に血液が行かないので脳貧血が起こります。こういう病態をアダムスストークス発作と呼んでいます。さらに緊急に処置が必要な不整脈は、心室細動で血圧の低下のため強い脳貧血状態に陥り、意識を失います。

 不整脈の診断には、脈をみることによっておおよそ判断がつきます。例えば心房細動では規則的に打たなくなります。発作性上室性頻拍では、脈の数が一分間に百八十前後で、規則正しく打ちます。洞機能不全症候群や完全房室ブロックなどの場合、脈が一分間三十以下にもなり、五秒前後の心停止により脳貧血症状が出ます。心室細動では脈が触れません。確実な診断は心電図や二十四時間心電図検査が大事です。

 不整脈の治療は、二十年以上前からペースメーカー植え込みが行われています。アダムスストークス発作の原因である洞機能不全症候群や完全房室ブロックの治療として確立しています。

 近年、発作性上室性頻拍などの頻脈性不整脈の原因が、刺激伝導系(心臓を動かす命令が伝わる電線の役割を果たしている)の副伝導路(バイパスとなる電線)があるために起こることが分かってきたため、副伝導路を心臓の中から焼き切ってしまう治療により発作が起こらなくなります。カテーテルアブレーションという治療です。

 急に動悸が起こる頻脈性不整脈や、意識消失を起こすような徐脈性不整脈は、心臓専門の施設で早く治療を受ける必要がありますが、救急車が到着するまでに行う処置があります。

 急に動悸がしたら、冷たい水を一気に飲んでみたり、少し息んでみますと、迷走神経反射により発作が治まることがあります。アダムスストークス発作や心室細動の場合には、続けて咳(せき)をしてみます。咳をすることにより、心臓はマッサージを行ったと同様の効果がありますが、効果が無ければ心臓マッサージを行いましょう。



(上毛新聞 2002年2月7日掲載)