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猿ケ京温泉民宿組合長
林一彦さん
(新治村猿ケ京 )

【略歴】沼田高卒。卒業と同時に家業の民宿「藤屋」を継ぎ、95年から猿ケ京温泉民宿組合長、村観光協会副会長に就任。01年からは村商工会青年部長、県商工会青年部連合会副会長、榛名養護学校PTA会長。


学校と地域

◎障害者との交流活発に

 私の娘は、榛名養護学校の沼田分教室の六年生です。同校は昭和五十四年に県内二番目の養護学校として開校しました。現在の児童・生徒数百四十八人は、養護学校としては全国的に見ても大規模校といえます。

 この学校に三年前、利根沼田地区の保護者の熱い要望にこたえ、沼田東小学校の敷地内に併設される形で、沼田分教室が開室されました。この分教室には校庭、体育館、プール、音楽室がなく、東小の施設を共用しています。そのため、分教室と東小の児童・生徒は毎日、必ずどこかであいさつを交わしたり、手をつないで遊んだりしています。また、学校同士の交流会もたくさん行われていて、密度の濃いふれあいを重ねています。

 昨年の夏休みのことです。娘と沼田の児童公園に行きました。公園に着くとすぐに娘は、遊具のところへ走っていきました。そこでは近所の女の子が二人で遊んでいましたが、娘はその遊びの輪に入っていき、一緒に遊んでいました。これは私にとって、意外な光景でした。

 普段なら自閉症で歩き方もおかしく、奇声を上げる娘が近付こうものなら、変な目で見て遠ざかっていくものですが、この時は違いました。一緒に順番に遊んでいたのです。その女の子たちは、東小の児童でした。毎日のいろいろなふれあいを通して、彼女たちは娘のようなハンディ(障害)のある子供のことを理解し、認知してくれていたのでした。とびきりの笑顔で遊んでいる娘と女の子たちを、私はとてもうれしく、また(学校での)交流などの教育の成果を、感謝しながら見ていました。

 現在、私の娘は社会の荒波から養護学校によって守られて生活しておりますが、あと何年かするとここを巣立っていかなければなりません。その時に娘たちを取り巻く地域や社会が、東小の児童たちのようにハンディのある者を理解し、個人として認め、普通に接してくれるようになることを保護者として願っています。

 このような社会が早く来るようにと、PTAでは地域に開かれた同年代同士の交流会活動を展開しています。地元の高校生二十五人とのふれあい会をもちました。沼田公園に集まり、自己紹介の後パートナーを決め、互いに手を取り合ってのゲームやダンス。さらに公園内の動物を見たり、シャボン玉などをして半日を過ごしました。

 その時の高校生の感想です。「最初はどのように接してよいか分からなかったけど、手をつないですぐに仲良くなれてうれしかった」。ハンディのある者、ない者。そこに壁などないことをあらためて気付かせてくれた会でした。

 このような交流会をこれからも多く展開、提供していきますので、皆さまの地区や学校に参加の声が掛かりましたら、会の趣旨をご理解いただき、お子さんたちへの参加を促していただければと思います。そして、交流を通して子供たちに思いやりや正義感、倫理観など豊かな人間性を地域ではぐくんでいければと考えます。



(上毛新聞 2002年3月3日掲載)