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高崎芸術短大客員教授 飴屋善敏さん(宮城県鳴瀬町東東名 )

【略歴】スマイル唱法をアリゴポーラ氏に、指揮法をコロロイター氏に学ぶ。元宮城教育大教授。現在、高崎芸術短大で表現法を講義。松島の柏木島などに、不登校の子供たちと「創る村」を開設。


最高の人生

◎正義感と人情が大事

 これは、生きる力が総合されてその人を美しくし、その高尚な人格が人に感動を与えるという意味です。

 人間は歩いたり、物を持つというさまざまな動作をして生きているのですが、一方、考え、愛し、希望を持って生きています。このように、人間には身体と脳の二つの働きがあり、さらに身体は手、足、腰などに分かれ、脳の方も、愛したり、求めたり、考えたりと、いろいろな働きをします。これらが、まじり合って生きているのです。

 自動車はハンドルや車輪が良くても、エンジンが働かないと動かないし、反対に、エンジンやハンドルがあっても、車輪がなければ走ることができないように、人間も健康で正常に生きるために、一つ一つの能力が正常に働くことが必要でしょう。

 前回(一月二十日付)は、自然な動作に感じる快感について述べました。ところで、脳の働きの方はどうでしょうか。人間が生きる上で、考えること、感じること、愛すること、希望を持つことなど、脳の働きはいろいろあります。そして、このさまざまな働きは、常に複合されて現れるのです。

 例えば、愛するという感情は、その人の持つ意志や思考や感じ方が混然と結合されて、さまざまな愛し方になるのです。愛し方がそれぞれに違うのはそのためです。

 今日、敬宮愛子さまの御誕生以来、愛子さまブームです。「敬愛」とか「敬天愛人」という言葉は、昔から多くの人々に大切にされてきました。私の知っているだけでも、西郷隆盛、小原国芳、京セラの社訓とした稲盛和夫名誉会長がいます。

 「敬天」とは、世の中が自然で健全に運営されるという、天の意志を心から大事にすることであり、「愛人」とは未熟である人間が生きていく上で、互いに愛しゆるし合うのが自然である、という意味です。世の中はこの正義感と人情と二つ併せ持ち、せめぎ合うことによってこそ支えられるのです。

 すべての人々に、この二つが行き渡った時に、今日のような恐ろしいテロは起こらなくても済む世の中になるでしょう。

 真理を求め、愛することや考えることや、志すことは人間であるためにそれぞれ大事で、これにも快感が与えられています。

 志を持ち、愛し、考え、実現した先人たちはたくさんいます。この偉大な人々は、自分自身が最高に人生を楽しみ、幸せで堂々とした生き方をしたといえるでしょう。天才たちがこぞって美しい理由はここにあるのです。また、この喜びは音楽や美術などに表現されて、人間に活力を与えます。それゆえにクラシックの音楽を聴いて、風呂に入ると脳は癒され育つのです。

(上毛新聞 2002年3月21日掲載)