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里山クラブ主宰 川原 幸司さん(千代田町新福寺 )

【略歴】三重県鳥羽市出身。関西学院大経済学部卒。区長時代から地域の平地林整備を進め、子供を集めた同クラブを主宰。現在、県警環境犯罪モニター、町森林環境教育検討委員も務めている。


やまの環境改善


◎森の中での活動楽しむ

 里山クラブを主宰し、平地林(以降やまは平地林のこと)の美化・整備・保全活動を始めて三年が過ぎました。フィールドは一年一カ所ずつ増やし計三カ所で、面積は十八ヘクタールほどです。三年はわずかな年数ですが、日数は千日近くになりますので、密度は少々高いのではないかと思っています。

 さて、一般的にボランティア活動といいますと、年間とか月間に何日かの活動日と時間を決めて、一斉に作業するという理解ですが、私どもの活動方式は、年間を通した常時活動(毎日活動)を基本にしてきました。したがって、私どもの活動にご協力いただける方は「ご自分のできることを、できる時に、できる時間だけ」ご参加いただく形が主体です。活動いただく内容は「里山活動を継続する上でのすべてのもの」で、例えて申せば、広報誌づくりなどの事務的仕事から生物や自然環境の知識指導、生物調査、そして看板づくり、花壇づくり、里道づくり、各種施設づくり、そしてそれらに必要な機材・資金のご提供などの多岐にわたります。平地林内作業そのものだけではありません。

 いま一つは、私たちの活動を外部から見た場合(特に初期は)、ボランティア活動ですが、主宰者の意識は自然環境の中に身を置くことから始まる林内活動を楽しむ方向(フォレスター活動)に、より大きなウエートを置きたいと考えています。

 ボランティア活動の弱点は、継続性・進ちょく性・技術性などではないかと思われます。継続性不安が納期不安になり、技術の向上も遅い…の流れになるのではないでしょうか。継続性不安の原因は「奉仕の意欲」を持ち続けることの難しさに加えて、活動費の確保なども無視できないことだろうと思われます。申すまでもなく、活動量と活動費の量は比例関係ですから、熱心なボランティア団体が少しの報酬(活動費)を得ることがあっても、何ら不自然と思わない立場です。

 さて、私はこのやまの環境改善を、前出の意味でのボランティア活動で進めるのは、不法投棄ごみやその他の状況から考えて、成果は絶望的と考えました。効果的活動のためには、年間を通して常時の活動ができて、しかも一定の技術力のある組織を核に持つことが不可欠と考えました。しかも、その組織のメンバーは無報酬で、しかも必要経費も自己負担とせざるを得ない現実で、メンバー(私も)のモチベーションを何に置くかは大きな課題でした。自分にどのようなよりどころがあったら活動の継続が可能かを思い巡らしました。そのとき思い至ったのが、森の中での活動を楽しむという前出の「フォレスター活動」の精神だったのです。

 発足時にはこの考え方に理解が得られず、結局は家内と二人でスタートしたのですが、現在はいわゆる「活動継続のための、あらゆるもの」への協力者も多くなり、大きな力になっています。子どものメンバー(エコジュニア)も加わりました。

(上毛新聞 2002年4月12日掲載)