視点 オピニオン21
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高崎のまちづくりを考える会代表 
渡部 恵知子さん
(高崎市上中居町 )

【略歴】高崎市出身、武蔵野音楽大学ピアノ科卒。1974―79年、東京農業大学第二高校音楽科講師、99年度高崎女性経営者研究会会長、92年プチローズ設立、代表。


DVは犯罪

◎本県にもシェルターを

 私は現在、「ぐんま男女共同参画プラン」の委員として参加しております。この会議は「群馬の女性が“私”という主語を持ち、主体的に生きられること。その考え方や生き方が、尊重される地域社会であること。あらゆる分野に、一人の人間として能力や才能を発揮できること。そのためには男・女という性別によって差別されることなく、公平なチャンスを持てること」などを目標としております。

 毎回「ぐんま男女共同参画」を推進するため、群馬らしさをキーワードとした条例の必要性について、熱心に討議しております。

 『ぐんま女性白書2000』という男女共同参画に関する県民意識調査の中に、興味深いデータがありますので、ご紹介いたします。まず、公立高校の男女別学は全国で3・1%に対し本県は31・5%という高い数字です。男女平等を考える中で、男性が優遇されていると感じるのは、家庭生活や職場において、また地域社会や政治上、そして法律や制度上、また社会通念・慣習・しきたりなどの場です。そこで県に求める第一施策として男女ともに「女性が働きやすい環境の整備」があげられ、二位は女性が「保育・高齢者問題などの福祉の充実」なのに対し、男性は「学校における男女の平等教育の推進」となっております。なぜなのでしょうか。

 すべての県民の人権が尊重される成熟した社会の群馬県をつくるためにも、男女共同参画推進に力を入れることは、とても重要なことと思います。さてその一環として<性暴力問題群馬弁護士ネットワーク>の活動をご紹介させていただきます。

 皆さんは、ドメスティック・バイオレンス(DV)という言葉をご存じですか。これは、夫や恋人など親しい人から受ける身体的・精神的・性的な暴力のことです。夫から命の危険を感じるほどの暴力を受けた人は約二十人に一人、夫に殺された妻は百三十四人(平成十二年)というショッキングな数字が同会主催のパネルディスカッション(十四年四月二十日)の場で発表されました。

 かつて「お母さんがお父さんに殺される! 助けて!」のSOSでも、単なる夫婦げんかとして見なされ、法的処罰の対象になりにくかったのですが、十三年四月にDV防止法が成立し、まさにこれは犯罪であることが認められました。DVから身を守るため逃げこめる施設(シェルター)を群馬にも造ろうと、弁護士ネットワークは皆さんの協力を呼びかけております。

 最後に私の好きなお話をいたします。「一羽のツバメが町へやって来ました。人々はそれに気づきませんでした。やがて二羽、三羽…。たくさんのツバメが町へやって来ました。人々はそれを見て『春が来た!』と思いました。しかし、春は一番最初のツバメが来たときから始まっているのです」

 DVおよびシェルターについてのお問い合わせは、性暴力問題群馬弁護士ネットワーク事務局(紺正行弁護士、電話027・231・2662)まで。



(上毛新聞 2002年5月21日掲載)