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社会保険労務士 板垣 忍さん(前橋市文京町 )

【略歴】前橋高、明治大卒。75年に板垣労務管理事務所入所、同副所長を経て、同代表取締役。県社会保険労務士会前橋支部長、前橋青年会議所41代理事長、前橋まちづくり協議会副会長。
前橋君


◎長男として意識改革を

第一子長男として育てられてきた前橋君はボーっとしています。なんてったって第一子長男なんだから黙っていても新しい服は買ってもらえるし、気付いてみれば自然と周りにみんな集まってくるし、家族も「そりゃあそうでしょう」な〜んて勝手に納得しちゃうしネ。

 それに引き換え、二男の高崎君や桐生君や太田君とか、最近元気な伊勢崎君たちは、よっぽど頑張らなくちゃ声を掛けてもらえません。

 したがって、前橋君は特に意識しなくても、そこにそうして立ってさえいればいいと思ってしまったのでしょうか。

 ハッと気が付いたら虫歯がいっぱいあるし、もともと近眼だったので気が付くのが遅れたのか老眼も始まってきているようで、感性の鋭い若者たちはそばに寄ってきてくれなくなっています。

 コンベンションシティーを目指していましたよね。多分あのころ、活性化施策として《まちづくり》を積極的に推し進めるためにコンベンションシティーを目指したんだと思う。それには、文化や歴史をもう一度見直したり、教育や商工業・住宅・交通・観光の充実、そして何よりも市民、本物を身近に感じて一歩鋭い感性を持った元気な市民を育て上げることを目標としていたんだと思う。施設などのハード面ばかりの《まちづくり》ではなく、本当はそこに住む《ひとづくり》こそが一番の《まちづくり》なんだと信じて。

 本気でコンベンションシティーを目指すのなら、通訳を養成するような専門学校くらいできていてもいいですよね。ホテルマンや観光ガイド・ソムリエ・手話なんてのもいいかもしれない。

 ここで重要なことは、こういったものは、まちの中心部につくっていくこと。中心部はなんてったって前橋君のカオです。訪れてくれた方の多くはやっぱり中心部に行きます。活気があるか、商店の品ぞろえはどうか、住民は歓迎してくれているのか、厳しくチェックされています。

 せっかく訪れても「なんだこりゃ」なんてことになると、「ひどいもんだヨ。もう二度と行くもんか」な〜んてことになっちゃいます。《まちは大きな遊園地》じゃないと、「また行きたい」って気は起こらないのです。《まちが大きな遊園地》であるための要件としては、各通りや各個店がそれぞれのテーマをもって運営されていて、良い意味での競い合いが行われている一方で、まち全体として繁栄しながら共生していこうという強い意志が感じられなくてはいけないのではないでしょうか。ワクワク・ドキドキ・安心安全・豪華絢爛(けんらん)・あなたが主役といったものを感じさせなくては歩きたくなりません。

 しかし、前橋君は結構いいものを持っています。『青空』です。前橋の年間日照時間は全国トップクラスです。冬になると青空がなくなっちゃう新潟の人に“前橋の青空を見に行こうキャンペーン”なんてどうでしょう。夏には新潟の海に行くんだもの、冬にはこちらにど〜ぞ! なんてね。その辺からの意識改革、すぐできそうですよね。


(上毛新聞 2002年6月16日掲載)