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夢現じゅく塾長・主任児童委員 
大井田文雄さん
(下仁田町下仁田 )

【略歴】大阪薬科大学卒。薬剤師。10年間、大手薬品メーカーに勤め、労働組合の委員長などを経験した。家業の薬局を継ぐため97年に帰郷。99年に提案型地域づくり団体、夢現じゅくを結成した。

個性の尊重



◎地域発展への第一歩

 大量生産、大量販売による成長が陰りを見せて久しい。画一的な製品より他とは異なったもの、不必要なものの削除というように、安さだけを追求するのではなく、個性や個々の要望といったことに重点が置かれるような時代になったことを実感する。物の選択については、選択する側の立場で市場が形成されるというように時代の変遷を感じるが、人の選択や人に対する対応についてはまだまだ旧態依然としたところが見受けられるように思う。

 人を選択するということについて考えれば、例えば、町会議員等の選挙において親せき縁者だから、近くに住んでいるから等を選択の基準とするのではなく、選択する側が立候補者の個性を尊重し、考え方を選択基準にするということが、選択する側の責任であり、今後の地域発展や住みよい街づくりの第一歩であると考えている。

 主任児童委員を委嘱されてから二年半経過するが、さまざまな研修や他地域との情報交換、そしてもちろん担当地域での活動を行っている中で感じることは、一人ひとり異なっている児童の個性を大切にする必要があること、児童を取り巻く環境を正しく知り、理解した上で問題の解決を図る必要があるということである。

 つまり、目的は一つでもケースごとに対応方法が異なるということであり、数学の問題を解決するような公式を利用して解答を導くといった画一的な対応はできないということである。「最近の子供たちは」とか「最近のお母さんたちは」といった言葉を耳にすることがあるが、こうしたことを口にする人は自分の尺度だけで物事をとらえて判断したり、総括的な結論を出したがる人が多いのだが、実は何の結論や解決に至っていないことが多いのではなかろうか。時代を正確に把握する必要はあるが、人は置かれた環境、感じ方、考え方が異なるという当たり前のことを再認識すべきだと思うし、そもそも「最近の」という人だって一世代前の方から見れば最近の人なのだということを自覚すべきである。

 個性を大切にするということは、人を理解し大切にするということであり、年齢、男女、役職、障害の有無といったことにとらわれず、その人の考え方を尊重するということである。否定することからは何も生まれるものはないが、理解することから生まれることはたくさんあると考えている。しかしながら、ここで注意しなければならないものは、すべてのことが個性という名のもとに許容できるわけではないということである。主任児童委員の活動で「虐待かしつけか」という議論はよく話題になるが、保護者の反社会的な行動や考え方については、当然認められることではないし、まして当該児童の肉体的、精神的影響を考えればできるだけ早期に対応をしていく必要がある。またこの場合、社会的孤立を防がなければならないので、地域の眼(め)ということが重要であると考えている。個性や個人主義を第一に考えつつも地域等の社会的つながりを保つ、このバランスが大切だと思う。

(上毛新聞 2002年7月23日掲載)