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福祉住環境コーディネーター 松本賢一 さん(新町 )

【略歴】高崎高校、早稲田大学卒。セイコーエプソンに勤務していた間、エプソンドイツ(デュッセルドルフ)に出向。89年、家業を継ぐためマツモト家具店に入社。00年度新町商工会青年部長。新町商店連盟理事。

福祉用具貸与



◎加えてほしい2品目

 加齢に伴い何らかの障害をもち日常生活に介護が必要な方およびその家族にとって、介護保険は大変意義のある制度です。そして、関係者の努力もあってその制度の理解や利用も日を追うごとに進んできており、要介護者が日常生活を住み慣れたわが家で過ごす際に大いなる助けとなっていると感じております。

 介護保険制度の下で提供されている福祉用具貸与の品目は周知のことですが、車いす・特殊寝台・スロープ・移動用リフトなど十二品目に限定されています。福祉住環境コーディネーターとして要介護者の在宅生活を支援させていただく方法として、福祉用具の利用と住宅改修を要介護者とその家族の皆さまの実情に合わせて最適なものとなるように組み合わせておすすめしております。その中で、福祉用具貸与にぜひ加えていただきたい品目が二つあります。

 一つ目は、電動昇降座いすです。これは、一般的な家庭の座いすの形をしていて、ボタンを押すことにより電気モーターの力で座っている座面が垂直に上下するものです。要介護者の中には、床座といって居間の畳に座ってテレビを見たり、時には横になったりして日常生活を送っている方がおります。そして、自分で座る姿勢を保つことはできるが足ひざ腰の筋力が衰えたり痛みがあったりして、座った姿勢から立ち上がることが困難な方が多数おります。ならば、いす生活に変えよ、といっても高齢になって急に長年の生活スタイルを変えることは困難なのです。

 電動昇降座いすは十五万円ほどから求めることができます。しかし、要介護者の身体の状況は変化していきます。購入してすぐに不用になる可能性もあります。住宅改修工事で必要な個所に、手すり、段差スロープ等を設置し、安全に移動できるように住環境を整えても、居間の畳から立ち上がることそのものが困難で、思うように家の中を移動することができないのでは自立した生活を過ごすことにはなりません。せっかく福祉用具貸与の制度があるのですから、この電動昇降座いすをその品物として、加えていただきたいです。

 二つ目として、車いす昇降機です。車いすで家に上がるには、スロープを使って押し上がる方法があります。安全に行うには、上がり框(かまち)の段差が四十センチあるとすると、スロープの長さとして最低その五倍の二メートル以上は必要とされています。また、介助者に腕力があり慣れていれば、まず前輪を上がり框に載せ、次に、腕の力で要介護者の乗った車いすごと後輪を持ち上げて、前に押して上がり框に後輪を着地させます。これを行うには上がり框から廊下部分がある程度広くないとできません。老老介護も多い現状ですから、車いすで家に出入りするのにはさまざまな制約があります。したがって車いす昇降機を介護保険の貸与対象品目として加えていただき、車いす利用を余儀なくされている要介護者が、住み慣れたわが家で少しでも長く自立した日常生活が過ごせるよう願っています。


(上毛新聞 2002年8月15日掲載)