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農業 橋場 幸夫 さん(笠懸町久宮  )

【略歴】桐生商卒。事務所勤務を経て83年就農。元桐生地区青年農業士会会長。笠懸町で、年齢を超えた仲間とともに地域の活性化を目指す「昭和群(むら)おこし会」を結成、代表を務めた。

あなたのごみは私の宝



◎資源リサイクル

 「もったいない! あなたのごみは私の宝」。これは私の参加していた「群(むら)おこし会」がガレージセールを開催する時のキャッチフレーズです。自分には使い道がない物でも、他人には利用価値のある物であったり、探していた物だったなんて場合もあるということを一口に表現した言葉です。

 私も実際にガレージセールへ出店した際に、無造作に並べておいた祖母のスカートと父の古いネクタイを高校生くらいの女の子が「模様がカワイイ!」と喜んで買い求めてくれるのを見て驚き、この言葉を実感しました。

 会がガレージセールに取り組むようになったのは群馬県の環境アドバイザー制度に登録したことがきっかけでした。環境アドバイザーは県内で環境問題などの啓発活動を率先して行う意思のある人が自ら登録します。活動内容などは決められておらず、各地域、各自の判断で環境問題に関する自由な活動を行い、行政のバックアップなども受けられるという制度です。

 ガレージセールは物の再利用につながり、人との交流も生まれるイベントです。会には町の文化祭を盛り上げようという目的がありましたので、ガレージセールを文化祭にぶつけようと決めました。

 タイムリミットは半年間。経験のため近郊で行われたガレージセールに参加し、出店者の募集やPRの方法などを毎日のように話し合ったことを思い出します。文頭の「もったいない…」もそんな中で生まれた言葉でした。

 記念すべき第一回のガレージセールは平成六年二月、中学校の体育館で行いました。三十六ほどの出店数でしたが、体育館は来場者で割れんばかりの大盛況。ガレージセールへの関心の高さに本当に驚きました。

 一方で、始まってしまうと収拾のつかない会場の状況に不安を覚え、回を重ねるごとに事故や盗難への配慮はもちろん、仕入れた物を売ったり、手工芸品ばかりを売るのが目的の方には参加をお断りするという姿勢で、本来の目的である不用品リサイクルを強調したガレージセールの実現を目指しました。

 私たちが環境アドバイザーへ登録した期間は二期、四年間でしたが、ガレージセールは五年間で十回行いました。また、町がごみの分別回収を実施するにあたり、「缶一つ、分ければ始まるリサイクル」のキャッチフレーズを掲げ、仮装パレードでPRに協力したこともありました。

 現在は地球の危機といわれるほど、環境保全が世界の課題となっています。先日ラジオの放送で天文学にたずさわる人の考え方として「人類だけに知恵が与えられているのは、知恵によって宇宙の真理を解き明かし、宇宙の正常化を担うのが人類の使命であるからだ」という話が紹介されていました。

 偉大なる人類の知恵は、すべてのごみを「宝」として有効利用するような方法を手にすることができるのでしょうか? そのための一歩は私たちが身近な資源のリサイクルに協力する行動に始まっているのかもしれませんね。愛する地球の子々孫々のために。


(上毛新聞 2002年8月25日掲載)